暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
戦場の跡
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
き、そして疲弊していく。

「う〜ん、ちょーっと張り切りすぎたかなぁ……。あっはっは」

少年は笑う。

脳裏を、頭蓋が割れるような痛みが走り回っているくせに、それをおくびにも出さずに、紅衣の衣を纏う少年は何でもないように笑う。

カグラに心配をかけさせないようにではなく、自分に言い聞かせるように、騙すように笑う。

それを全部見透かすように、カグラは身を屈めてレンの顔を覗き込むようにしてみる。

純和風の日本人らしい風貌に似つかわしい漆黒の瞳の奥に宿る炎が目線と交錯する寸前、レンはそれから逃げるように顔を背け、背中の肩甲骨に意識を集中させた。

ケットシー特有の薄黄色の翅が展開し、身体全体を仮想の重力に逆らう浮遊力が包む。

ふわり、と浮かび上がったレンをいまだに気遣わしげに見ながら、カグラも自分の翅を広げて追随してきた。

「カグラ、飛行時間はあとどれくらい残ってる?」

「そうですね。かなり激しく動いたので、………五分くらいですかね」

「んー、全力出したらアルンにぎりっぎり着く、かな?」

「しかし、今のレンの身体は────」

言い募ろうとしたカグラの言葉を





「まったく、ヒトの家の前で何をしているんだ?君らは」





ボッ!!!と、レンはその言葉が空気の振動として鼓膜が震える前に両腕を神速の勢いで振るっていた。

あれだけの超速戦闘の後だ。そう簡単には意識がシフトしない。

それが幸いし、レンは最大限に最適化された動きで両腕を振るった。

しかし────

────リイィィィィィーンンン────

辺り一帯に響き渡るほどに涼やかな、場違いな鈴の音が響いた。

そこまで認識した時、レンの視界は初めて巨木の森の上空に浮かぶ一人の女性の姿を視認した。

肩甲骨ほどまである薄紫色のロングヘアに同色のフードマントを肩に引っ掛け、その下には今にもはちきれんばかりの豊満な胸を無理やり押し込んだ漆黒のレザースーツを着ている。

その姿を全て認識する前に、レンのワイヤーは確かに女性を真っ二つに切断したはずだ。しかし、鋼糸がそれを断絶する寸前、その姿がまるで映像投影機に映し出された映像のように

()()()

「……………ッ!」

まるで空気を斬ったかのように、すり抜けるワイヤーをレンは信じられない物でも見るかのように見つめた。

それに完璧に合わせたコンビネーションで、カグラもほぼ同時にその姿を斬る。がしかし、《冬桜(とうおう)》のその刀身さえも、その姿はいとも簡単にすり抜ける。

驚愕に喘ぐカグラの呼気を無視し、レンはすでに限界まで疲労した知覚を限界まで張り詰めさせた。

「カグラ!右前方二時の方向
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ