第四十八話〜焦りと燻り〜
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、チンクの言葉をかき消したのだから。
「――ガハッ!」
口から呻き声とも、血を吐くような音にも聞こえる声を出し、ノーヴェは気絶する。
そしていつの間にか、先程までノーヴェが立っていた位置には泰然とした体勢で立っているライがいた。
「そんな!さっきまで!」
ウェンディは咄嗟に先程までライがいた場所を見るが、そこには白銀の魔法陣が残っているだけであった。
「どうした?案山子のままでいるつもりか?」
ライの挑発に憤る余裕もなく、ウェンディは再びライディングボードの銃口をライに向ける。そして向けると同時に発砲しようとするが、それは叶わなかった。
ライは銃口が向けられた瞬間、パラディンをヴァリスに切り替え、ライディングボードの銃口の中心に魔力弾を放ったのである。
その結果、放たれようとしていたエネルギーが暴発し、ボードを装備していたウェンディの右腕で爆発が起きた。
「ああ、くぁ」
見た目、もう使い物にならない右腕を抑え、痛みを堪えるように声を出すウェンディ。そんな彼女にライはもう視線すら向けない。
「くっ!」
チンクは一瞬でやられた妹たちを見て、焦りながらも自身の武器であるナイフを投擲する。彼女のできる最速で投擲されたナイフは、数本がライの足元に、数本がライに目掛けて進んでいく。
ライはパラディンをMVSに切り替え、自分に当たりそうなナイフだけを弾き、足元に刺さったナイフは無視した。
「ランブルデトネイター!」
どこか必死な声をチンクが叫ぶと同時に、ライの足元に刺さったナイフが爆発する。
これはチンクの能力であり、彼女の最大の武器、『インヒューレントスキル・ランブルデトネイター』である。これは一定時間手で触れた金属にエネルギーを付与し、爆発物に変化させる能力である。
「ハァ、ハァ」
たった数秒の攻防で既にチンクの息は上がっていた。それほどの緊張感と恐怖心が彼女の中で生まれているのだ。
爆発から生まれた煙に視線を固定し、ライの動きを伺おうとしている彼女であったが、ライは彼女の予想を軽々と超える。
「どちらを見ている」
「ッ!」
ライが煙の中にいると思い込んでいたチンクの耳が、ライの声を聞き取る。その声のした方向はチンクの後方から。聞こえた瞬間、咄嗟にチンクは振り返るが、振り返った瞬間、ライに首を掴まれ、チンクは近くの壁に叩きつけられる。叩きつけられると同時にチンクが着ていたコートから数本のナイフが落ち、辺りに散らばる。
「ギッ!」
痛みに耐えるために歯を食いしばった音がやけに鮮明に聞こえた。
「何か、言い残すことはあるか?」
ライのその言葉を一瞬理解出来なかったチンクは、ライの腕を掴み、睨み返す。そんな
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