第四十八話〜焦りと燻り〜
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幸か、今現在のライは3人の向いている方向からそれている。そして、ライと彼女たちとの距離は加速魔法を使えばすぐにでも詰めることのできる距離である。
(イマスグ、トリカエス)
その思考と共に行動を起こそうとするライ。だが、それは第三者の行動により止められた。
「返せええええええええええええええっ!」
叫びながら、ロクな防御もせずに突っ込んでいくスバルの存在を認識した途端、ライの思考が人としての温もりを取り戻した。
「っ!」
スバルの突貫に敵が気を取られていることを認識した瞬間、ライは反射的にその状況を利用した。
スバルが戦闘機人の1人に拳を打ち込み、その衝撃でスバルと戦闘機人との距離が離れたと同時にライはチューニングシステムを介し、思考制御で加速魔法を発動。3人の戦闘機人から、ギンガを掠め取るように通り過ぎる。ギンガを取り返すと戦闘機人の3人はライの存在に気付くが、ライはその事を意に介さず、未だ正気を失っているスバルの方に向かった。
「スバル!」
腕を掴み、名前を呼びかけるが彼女は敵を見据えたまま叫んだ。
「離せ!」
「ッ!このっ!」
ライがギンガを抱えていることにも気付かずに再び突っ込もうとするスバルをライは殴りつけた。
それは『正気に戻す』という生易しいものではなく、意識を刈り取るために放った拳であった。ライの当て方が上手かったのか、それとも当たり所が悪かったのか、スバルはその一撃で気絶する。
地面に落ちる前にギンガを左脇に抱え、そしてスバルを右肩に担ぐ。それと同時にライの背後、スバルが使ったと思われる通路からなのはとティアナの2人が姿を見せた。
その事に少し安堵しながらライは今の状況に驚いているなのはとティアナにそれぞれギンガとスバルを渡した。
「ライ君、これって――」
「スターズ1と4はスターズ3とナカジマ陸曹を連れて地上に戻れ。スターズ4はその2人を地上の医療部隊に引渡し、その部隊の護衛を。スターズ1は地上に戻ったら即座に六課に戻れ。地上本部を襲撃した敵部隊の目的は足止めだ」
なのはが状況説明を求める前に、ライは矢継ぎ早に命令を下した。
ライがなのはの言葉を遮ったことに若干驚きを見せた2人であったが、ライが言い放った命令の内容の方が驚きも大きかった。
ライがこの場所に来る前に探知した、敵のAMFの展開の仕方が目標を逃げ出さないように囲っていることに気付いたライはそれを足止めと予測していた。そして六課に戻るように言ったのは、これまで敵陣営の狙いであったレリックと、今回の事件に少なからず関わりがあると思われるヴィヴィオの存在。この2つの要素から六課の方にも時間差で襲撃が行われると予想したからである。
敵の拠点を落とす際に最も憂慮すべき
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