第四十八話〜焦りと燻り〜
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戦はしていたが、密閉空間であるため敵が広く展開できないこと。そしてマリエルに改修してもらい、取り付けてもらった機能が役に立っていた。
その機能とはランスロットに装備されていたハーケンブースターと同様のものである。
パラディンのバリアジャケットである両腕の装甲と足に付けられた装甲の、それぞれ左右に取り付けられ、合計四つのハーケンが取り付けられたのである。これは元々ティアナが使っていたアンカーガンと同じく、魔法による吸着とハーケンそのものの切断力をそれぞれ使い分けることが出来るように設定されている。その為、遠距離攻撃が行われない屋内戦闘において、ヴァリス以外の飛び道具が増えたことにより、ライの戦闘方法に幅が付いた。
そして戦闘面以外では、ハーケンによる跳躍や牽引により飛行魔法を使うよりも魔力消費を抑えることも出来る。
よって、ライの進行速度はエナジーウイングを使用した時ほどではないにしろ確実に向上していた。
本局の真下まで後少しというところで、いきなりAMFの濃度が濃くなりライは反射的に足を止めた。
(まだ本局には到達していないのに……本局を囲っている?これじゃ、まるで――)
立ち止まり、ライが思考していた途中で少し離れた位置から轟音が届いた。
「ッ」
いきなりの事に顔を顰めたライは音のした通路に視線を向けた。そしてそれと同時に蒼月が報告を告げる。
「――今の爆発音にローラーの擦過音が混じっていました。恐らくはナカジマ姉妹のどちらかが戦闘をしていると推測されます」
蒼月からの報告を全て聞き終える前に、ライは走り出していた。自分の足が通路の硬い床を叩く音と時々響く爆発音に、表現しづらい歯がゆさを感じながらライは駆ける。少しの間狭い通路を進み、そしてその通路の先に土煙が舞っている大きめの空間が見えた瞬間、ライはその言葉を無意識に口にしていた。
「アクセル」
さっきまでちょっとしたアスリート並の速さで走っていたライが、その一言を呟くと同時に目の前に続いていた通路の長さを一瞬で短くし、ライはその開けた空間にたどり着かせていた。
そしてそこには――
「――――」
血を流し、髪を掴むようにして持たれているギンガがいた。
(ヤツラハナニヲシテイル?)
頭の中が限りなく冷たくなり、余分な思考が削ぎ落とされていく。
ライの視界に映るのは、血を流して気絶しているであろうギンガと、体にぴったりとしたスーツを着込む戦闘機人と思われる3人の少女。
今、ライの頭の中で導き出されるのは、ギンガを取り返す方法。そして――
どのようにしてこの3人を●すかである。
頭の中で組み立てられた自分のこれからの行動予定を忠実に再現するために、ライは一歩を踏み出そうとする。幸か不
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