挑発
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やり過ぎだぜ黒ウサギちゃんよ」
響がそう呟いた瞬間、その場にいた全員の体にまるで上から圧がかかった様な感覚が襲った。
「!?」
……な、なんだこれは!? まるで教官と同じ! いや、それ以上の殺気が……!?
あまりのことにラウラが響の方を見やると、響が静かに歩み寄ってきていた。彼女の目には確かな怒りがこめられていた。
やがて響が近くまで来ると、先ほどから感じられた重圧がさらに強くなった。
「ようボーデヴィッヒ。随分と私のダチいじめてくれたじゃねぇか」
「っ!!」
響きの声とともに、ラウラは大きく後ろに後退した。先ほどまでの彼女とは打って変り、その行動はとても焦っているように見えた。
「ひ、響さん……」
「しゃべんな。じっとしてろ」
セシリアが響を呼ぶと響は安心させるようにセシリアの頬を撫でる。するとラウラが声を上ずらせながら響に問うた。
「……貴様は本当になんなのだ!?」
「さぁ?」
「ふざけているのか……!?」
口元を不適に歪ませながら響が言ったことにラウラが苛立ちを募らせる。
そこでふと響がラウラに向けて問う。
「ボーデヴィッヒよぉ、お前とはトーナメントでヤリ合おうかと思ったけどどうするよ? 今ここでヤルか?」
「……いいだろう。そこまでやられたいのであれば今ここで貴様を葬ってやる!!」
ラウラも頬に汗を流しながらも、響と戦うため戦闘態勢に入る。
だが、
「そこまでだ!」
声の主は千冬だった。彼女は響とラウラの間に割って割ってはいるとさらに言葉をつなげた。
「両者その場から動くなよ。……貴様らがいくら模擬戦をしようと構わんがバリアを破壊するなどという事態を発生させるな。貴様らの戦闘は学年別トーナメントの時までとっておけ」
「教官がそう仰るのであれば」
「……了解」
ラウラのほうは素直に頷きISの展開を解除する。
「ではこれよりトーナメントまで一切の私闘を禁止とする! 解散!!」
千冬はアリーナの生徒全員に聞こえるように大きく言い放つと、パンッと手を叩き解散の合図をした。
アリーナから戻った響たちは校舎内の保健室にやってきていた。セシリアと鈴音は既に手当てを受け、包帯をところどころに巻いた状態でベッドの上に座っている。
鈴音はむすっとしているがセシリアのほうはがっくりと首を落としている。
「そう気を落とすなセシリア。負けなんて誰にだってある」
響はセシリアの頭をポンポンと叩きながらセシリアを励ます。
「いえ……負けたことも悔しくはあるのですが、それよりもボーデヴィッヒさんの響さんへの暴言を訂正させることができなかっ
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