挑発
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シャルロットが自分を女だと明かしたその日の深夜。響は一人夜風に当たっていた。六月の夜は熱いとまでは行かないが、わずかに夏の香りを感じさせてきていた。
「……にしても、最近弛み過ぎだな」
自嘲する様に響は俯く。
「……友達になりたいなんていってきた奴はアイツぐらいだったからか? それで自分が痛い目見るのはわかってたはずなんだけどなぁ」
俯きながら響は呟いているが、口元は少しだけ笑みをこぼしていた。だが目は笑ってはおらず、悲しげだった。
「でもまぁ一回了承しちまったもんはもう曲げられねぇよな。……よっし! がんばってみますかね」
髪をかきあげながら響は大きく言い放った。
その声からは先ほどまでの悲しげな雰囲気は感じられず、むしろ楽しんでいるような雰囲気をかもし出していた。
だが言った直後、響は苦虫を噛み潰したような表情になった。
「そうなるとアイツも含まれちまうのか……。それはめんどくせーな」
心底けだるそうに響は溜息をついた。
翌朝。響はセシリアとシャルロット、本音と共に朝食をとっていた。
「ふぉうひえはひーひゃんははふねんへふふぉーなふぇんふぉにはへないんらっへ?」
「口に食いもん入れたまま話すな!」
もがもがと口に朝食を詰め込んだ本音の問いに響は思わず声を荒げながら答える。実際、セシリアたちもかなり苦笑いを浮かべている。
「ごくんっ。……いやぁゴメンゴメン、それでさ学年別トーナメントには出ないんだっけ?」
「出たって意味ねぇしな。つか飯粒ついてんぞ?」
「え? どこどこ?」
響の指摘に本音が頬を撫でるが、ご飯粒がついているのは逆の頬だった。するとそれを見ていた響が痺れを切らしたのか、
「だーもうまどろっこしぃ!」
響は身を乗り出し本音の頬に手を添えるとついていたご飯粒を取り、それを自らの口に運びそのまま飲み込んだ。
それを見ていたセシリアとシャルロットが本音を見つめるとほぼ同時に小さく一言。
「……いいなぁ……」「……うらやましいですわ……」
二人は心底うらやましそうに目を潤ませていた。
それに気付かない響の前で本音が軽く俯きながら、
「……こういうことを何の気なしにできるのが凄いよねぇ……」
「あん? なんか言ったか?」
「んーん、なんでもないよー」
本音の呟きが聞こえたのか響が問うが、彼女はいつものようにのほほんとしながら返答した。だがその顔はわずかに赤く染まっていた。
だがそれを見逃さなかった女子二人。
……ま、まさか!? 布仏さんも響さんを? だとしたら不利ですわ……布仏さんは響さんと同じお部屋ですし。一体どうすれば
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