第三十九章
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第三十九章
だがそれは全くの無意味であった。少女はその七色の光を受けても平然と笑っていたのである、
「今何かしたかしら」
「通じていないというの!?」
「どうやら。彼女は光を使った力より闇を使った力の方が得意のようですね」
「そう、魔界の住人だから」
「それだけではありませんね」
少女のその闇を見据えていた。
「彼女は。言うならばローマの闇そのもの」
「では今までのは闇が発していた光」
「ですから限界があったのです。しかし」
「闇が発する闇というのは」
「本物です。ですから」
これまでになく恐ろしいプレッシャーを今二人は感じていた。それは天使の羽根を溶かしていき教皇の壁をも覆わんとしていた。
「どうしますか、このままでは」
アンジェレッタは迫る危機を前に速水に問う。
「幾ら教皇の護りの壁でもこのままでは」
「ええ」
それは速水もわかっていた。
「ですが御心配には及びません」
「何かカードを!?」
「いえ」
その言葉には首を静かに横に振った。
「ここではカードは使いません」
「ではどのようにして」
「私が持っているのはカードだけではありません」
彼は言う。
「他の力も持っているのですよ」
「それは一体」
「はい」
その隠された左目が今光った。眩いばかりに黄金色に。
「!?」
その目から放たれた光はすぐに城を覆った。そして床から無数の黄金色の光の柱を放ってきた。
「何なの、これは」
「これこそが私の切り札」
速水の顔の左半分の髪が上がっていた。そこにある目が輝き今黄金色になっていた。
「金色の目!?」
「そうです」
少女もアンジェレッタも同じことを言った。
「これこそが私の切り札」
「その目で何を為さると」
「御覧下さい」
その輝く目のままアンジェレッタに述べた。
「さあ、光達よ」
速水は言う。
「今こそ水晶に宿りその力を解き放つのだ」
「水晶に!?」
光が飛び交い水晶に吸い込まれていく。すると光はそこから無限に乱れ飛び四方八方へと乱れ飛ぶ。
それも全ての水晶に入ってだ。乱れ飛ぶ光はやがて一つになっていき結界の中を覆っていった。
「これでまさか!?」
「そのまさかです」
今度は少女だけに答えた。
「私の目は特別でしてね」
左目の光が増していた。一層その輝きが強くなる。
「いざという時に力を発揮するのですよ」
「今その力を」
「そうです。さあ」
少女に対して言う。
「消えるのです、この光の中で」
「馬鹿な、人に私が」
「言った筈です、人であっても勝てると」
速水は言う。
「違いませんか?」
「こんな光で私が」
また闇を放とうとする。しかしそれは光の中に掻き消されていく。
「うう・・・・・・
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