第三十三話 少し頭を冷やしてこい!
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ーマイヤー両提督の力量に疑問を持っているのかな?」
平静な口調だったがヒヤリとするような冷たさが有った。少将の顔が強張った、彼だけではない、司令部の皆が肩を竦めるようにして司令長官とミューゼル少将の遣り取りを聞いている。スクリーンに映る二人の提督は明らかに不愉快そうな表情を浮かべていた。
「戦場で相手を挑発し怒らせる事など初歩の初歩、あの程度の挑発で感情を乱すなど一体何を考えているのか」
「……」
「私が卿を司令部に入れたのは卿がアンネローゼの弟だからではない、それだけの能力が有ると思ったからです。私の期待を裏切らないで欲しいですね、ミューゼル少将」
「……申し訳ありません」
ミューゼル少将の謝罪に司令長官がふっと息を吐いた。
「ミューゼル少将、自室にて二十四時間待機しなさい。自分の言動をそこでもう一度省(かえり)みなさい。その上で司令部に復帰する事を命じます」
「……はっ」
少将が顔を強張らせて艦橋から出て行った。
ミューゼル少将にとっては屈辱だろう、だが当然の処分ではある。周囲にも縁故による特別扱いはしないという意思表示にもなる、間違ってはいない。
「キルヒアイス少佐、何処に行くのです」
司令長官の言葉に皆が少佐に視線を向けた。キルヒアイス少佐が司令部から外れ艦橋の外に出ようとしている。ミューゼル少将を追おうとしたのだろう。
「ミューゼル少将の事は放っておきなさい。彼は子供ではない」
「……」
「自分の仕事に戻りなさい、ミューゼル少将の御守りは卿の仕事ではない」
「……はい」
少佐が俯いて司令部に戻った。それを見届けてから司令長官がスクリーンに視線を向けた……。
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