第三十三話 少し頭を冷やしてこい!
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これ以上は付き合いきれない、邪魔だから死んでもらおうという事になった。世を儚んでの自殺、そういう事にすれば良い、彼女が飲む温めたミルクに毒が入れられた……。それがベーネミュンデ侯爵夫人の死の真相なのだそうだ。
では俺の襲撃事件とベーネミュンデ侯爵夫人は無関係なのか? それに対するフェルナーの答えはイエスだった。あの襲撃事件を計画したのはフレーゲルとシャイドだったが二人はベーネミュンデ侯爵夫人の名前を使っただけなのだという。彼女には相談しなかったし接触もしなかった。
ちなみにフレーゲル達は仲間内ではいまだに爵位付で名を呼ばれているらしい。フレーゲル達がそれを要求しているのだと言う。笑えるよな、今度会ったらフォン・フレーゲルと名を呼んでやろう、或いは元男爵かな、さぞかし怒り狂って出撃してくるだろう。
フレーゲル達にとってもベーネミュンデ侯爵夫人は信用できる相手ではなかった。名前だけ使って最終的には自分達の代わりに罪を被せるつもりだったらしい。当初の標的がアンネローゼだったのも犯人が侯爵夫人だと思わせるカモフラージュで狙いは最初から俺だった。そんな事で騙せるのかと俺は思ったがベーネミュンデ侯爵夫人ならあの二人は可能だと思ったようだ。
たまたま両者の行動が同日に起きた事が事件を複雑にさせた。フレーゲルとシャイドはこれでは侯爵夫人に罪を被せられなくなるのではないかと慌てたがベーネミュンデ侯爵夫人の侍女達はむしろ好都合だと考えた。ベーネミュンデ侯爵夫人が世を儚んで自殺したと言うよりも誰かを道連れに自殺したという方がしっくりすると考えたのだ。侍女達は口を揃えてベーネミュンデ侯爵夫人はアンネローゼを殺そうとしたが警備が厳しいので標的を俺に切り替えたと証言した。
では殺された侍女とその恋人は何なのか? 当然だが侍女達は真実を知っている。誰かが侯爵夫人の名を使って俺を襲撃させたと知っていたわけだ。殺された侍女はフレーゲルが真犯人だと気付いて恋人と相談してフレーゲルを強請ったらしい。
どうやらフレーゲルは襲撃事件の翌早朝、侯爵夫人にTV電話で連絡を入れたようだ。善意の第三者として侯爵夫人に事件を教えた、そんな役割を考えていたのだろう。ところが侯爵夫人が死んだと侍女に聞かされて驚いてしまった。その時、何か不審を持たれる様な事を口走ったらしい。その侍女が殺された侍女だった。
強請られたフレーゲルは最初は金を払った。本当は殺す事で口封じをしたかっただろうがベーネミュンデ侯爵夫人の元侍女が殺されたとなれば怪しまれると考えた様だ、必要以上に危険を冒すことは無いと思ったのだろう。だが侍女達の方がそれに悪乗りした。
一度で止めておけばよいものを二度、三度と強請ったらしい。堪りかねたフレーゲルはブラウンシュバイク公に泣きついた。泣きつかれてブラウン
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