第三十六章
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は帝政ローマのハドリアヌス帝であった。彼と彼の家族の為の墓所だったのである。
ローマ帝国が崩壊した後この街にペストが襲った。当時の劣悪な衛生状況ではペストは度々起こる病であった。その為にローマも何度か災厄に見舞われている。
六世紀終わりのこの災厄を救ったのは大天使ミカエルであるとされている。
死の廃墟となろうとしていたローマに降り立ったこの天使は手に持っている剣で病をもたらす悪魔を切り払ったとされている。それによりこの街は救われた。城の屋上にあるミカエルの像はそれを記念している。
この城は教皇達の牙城となった。ニコラス五世が教会の上に築き、そしてアレクサンドル六世が堅固な城とした。あのボルジア家の教皇がである。
彼が築いたこの城は難攻不落とされた。時には政治犯も収容され屋上では処刑も行われてきた。斬られた首が城の穴を通って下にあるティベレ河へと落ちるようになっているのである。
今では単なる観光名所である。しかし血の匂いが感じられるようだ。重厚な造りが歴史を思わせそこに濃厚な血の香りを思わせるのである。
速水とアンジェレッタは今その城の屋上にいた。そこを静かに進んでいる。
「ここですね」
「そうですね、はっきりとわかります」
速水は述べた。
「いますね、ここに」
「はい」
屋上は広い。こここそがこの城の天使のいる場所である。
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