第三十五章
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にあるものを司っています」
「あるもの!?」
「ええ」
口だけで笑ってそれに応えた。
「時間です」
「時間・・・・・・」
「さあ、黄金色の月よ」
速水は今カードから出した月に対して語りかける。
「今こそその時間を進めるのです。そしてこの世の全てを元に戻すのです」
「時間を。一体何を」
「何かお考えが、速水さん」
「はい。夜を進めるのです」
彼はアンジェレッタにも答える。
「そして全てを終わらせます」
「時間を進めてですか」
「その通りです」
速水は少女と月を見据えたまま答える。
「私の予想が正しければそれで」
「何なのかはわからないけれど」
だが少女はそれに対して何も恐れるふうなことは見られなかった。
「それで私を倒そうとはまた面白いことね。けれど無駄よ」
放つ光をさらに多く強くさせる。それで二人をも覆わんとしてきた。
「さあ、これでどうかしら」
少女は光で二人を取り囲んで問う。
「これで終わりよ。コロシウムが貴方達の最期の場所になるわね」
「さて、それはどうでしょうか」
それに対する速水の返事は相変わらず口調は穏やかでもその内容は強気であった。
「上手くいくとは思わない方がよいかも知れませんよ」
「まだ言うのね。気丈ね」
「気丈ではありません」
彼はそれは否定する。
「ただ、時間を見て言っているだけですから」
「また時間を出すのね。おかしなこと」
少女はそんな彼に冷酷で優雅な笑みを向けてきた。
「そんなに時間が大切というのかしら」
「そうですね、何よりも」
その主張を何としても変えはしない。
「じゃあその時間の中で影をいただくわ」
少女は言う。
「さようなら。このコロセウムで永遠に眠るのよ」
影が二人を覆ってきた。速水はそれに対して太陽のカードの光だけで身を守っていた。だがそれではとても防げそうにはなかった。そこまでの質と量の光が迫ってきていたのだ。
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