五話 「才能の差」
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出来た子なのだろうかと感動してしまう。
何とか持ちこたえているが、正直に言うと既に何度か危なかった。
息が詰まるようにして腹から何かがせりあがってくる感覚を、何とか飲みこんでいる。
飲み込んで最悪の状態を防いでいるのは良いが、その度に鼻に変な臭いが残り、喉がひりひりしてしょうがない。
それを消すためにも、白から受け取った水筒から水を含みうがいをして吐き出し、今度は少し水を飲む。
うん???臭い消えねぇやこれ。
「おじさん。後、どれくらいで、つくんですか?」
「う〜ん、そうだねぇ。波も比較的穏やかだし、大体一時間半くらいのはずだから、後二十分掛かるか掛からないかくらいだろうねぇ。だから我慢してね」
ああ、そういえばこの世界にはエンジンがないんだ。だから着くのに時間が掛かって揺れも大きいのだろう。酔いが強いのはそのせいなのだろうか。
だが、後二十分くらいならなんとかリバースしなくて済みそうだ。
「多分、それくらいなら大丈夫だと思います」
「そりゃ良かった」
「何とか我慢しろよ。次は適当に酔いに効きそうなもんやるからよ。絶対にこっち向いて吐くな」
へいへい。
横になりながらその言葉を聞き流す。
まあ、商人の経験があるおっさんが言ってんだ、酔い止めは一応期待しときますかね。
……って、
「つ、ぎ?」
「一回で終わるなんざいつ言った。少なくとも後二回は船のるぞ。それも今回より長くだ。島国舐めるな」
マジですかそれ。
「あの、イオリさん。もっともっと減らすことって出来ないんでしょうか?」
「……それは無理だ白。行く先が行く先だからな。二回ってのも最低で陸路を歩く場合だ。可能な限り船を使えばもっと増える。ま、出来る限り減らすようにはするがな」
すみません、正直舐めてました。
二回ともかは知らないが、少なくともこれより長いのがまだある。確実にリバースする自信がある。
暫くの間、飯は少なめに食べるのを心がけよう。
そんな思いの中、心配そうに見てくれる白だけが唯一の気休めだった。
「……う」
あ、やば。
都合何回目かに喉元の熱さを感じながら、自分が思ったことはただ一つ。
……もう、ゴールしてもいいよね?
「またのお越しを〜」
船のヘリに足をかけ、手を振るおじさんが遠くに見える。
そんな中、イツキは揺れない地面を歩きながら感激していた。
(吐かなかった、吐かなかったよ俺!)
そんな思いが自分の中を巡る。
非常に危なくリバース一歩手前。それこそ何かが起こる直前の合図なのか、首からの上の温度が一気に下がるような感覚があったがなんとか耐えきった。
いや、正直あれだね。誰か(白)が見てる前では吐きたくな
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