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弱者の足掻き
五話 「才能の差」
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「……何、すんだ、おっさんこの野郎!! つーかなんでいるんだよ!!」

なんとか呼吸を持ち直し叫ぶ。
いつのまにか現れたおっさんは中腰の姿勢で突き出した拳をそのままにハア〜と息を吐いている。
やばい、蹴り飛ばしたい。若干視界が滲んで見える。

「誰がおっさんだこら。殴るぞ」
「もう殴ってんだろおっさ……あ、はいすみません。カッコいいお兄さんですから拳を構えないで下さい」

もう一発と脇を引き締め構えたので慌てて訂正する。
子供相手に容赦がなさ過ぎるだろおい。

「……前々から取り繕ってる感あったが、切れると素が出んなお前。変に仰々しいよりあってるぞそれ。……まあいい。白が何かいってんだから聞いてやれ。それと飯だから来い」
「わかりました。直ぐに行きます」

多分ね。

そんなことを思っていると用件が終わったのか背を向けておっさんはさっていった。
それを見送り未だ痛む腹部をさすりながら白【現実】の方を向く。
見ればやや涙目な気がする。あれか、あんまり無視されるから色々と思ってトラウマ的な所だったのかこれは。
そんなことを思いながら口を開く。

「で、だ。白よ」
「あ、は、はいイツキさん! なんでしょうか!」

無視されていたのに反応されるのが嬉しいのだろう。犬みたいな反応である。尻尾があればぶんぶんと振れているだろう。
そんな白に対し言う事は一言。

「才能って、残酷よね」
「? はい?」

思わず現実から目を背け、凝った言い方の情景描写に逃げていた理由のブツ????白の手の中にある水風船に目を向ける。

(いや、なんで出来るのホント。泣くよ? 一桁だけど中身も考慮すると余裕で二十歳越えてる俺が泣くよ?)

というか泣きたい。
そんな思いを堪えながら白の頭に手を乗せる。

白にイツキがチャクラコントロールなどを教え始めてまだ二日程度である。
聞いたところ術など一つも知らず、基本となるチャクラの練り方やその意識の仕方なども教えられなかったとのこと。
まあ、それはいい。血継限界だったからそれを隠していれば親は教えてないのは当然だから別によかった。
ならこれから教えればいいと、イオリのおっさんの目に止まらないように教え始めたのが最初に会った日のこと。
なのに、

(なんで水がもう回るのこの子? 馬鹿なの?アホなの?)

A.天才だから。

空いているもう片方の手に自分の分の水風船を握り、チャクラを流し始める。
握られたそれは中の水が渦を巻き、外側へと向かう力が掛けられた分とゴムの膜を所々伸び縮みさせる。
その伸縮と渦の巻き加減、目の前にいる相手とほぼ同じである。

訓練をしてきた日数。
俺=数年・白=数日。
俺=白・年=日。
つまり白≠馬鹿、白=天才。俺=
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