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占術師速水丈太郎  ローマの少女
第三十三章
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第三十三章

「その通りなのですが」
「それで来てくれるなんて。嬉しいわ」
「言っておきますがこちらも勝算があって来ているのですよ」
「あら、勝てるのかしら」
 少女はそれを聞いても余裕に満ちていた。
「死神に」
「蟻ですら象に勝てるのです」
 速水は落ち着いた声で述べた。
「頭脳さえあればね」
「じゃあそれを見せてもらうわ」
 少女の身体をさらに濃い妖気が覆った。
「今から。行くわよ」
「速水さん」
 後ろに控えていたアンジェレッタが声をかけてきた。
「来ますよ」
「はい、わかっています」
 速水は既に懐からカードを数枚出してきていた。
「なら。まずは」
 すっと横に滑った。宙を滑っている。
「こちらから」
 そのカードを少女に向けて投げる。言葉通り先手を打ってきた。
 カードは一直線に少女に向かう。だが少女は身動き一つしない。
「奇麗なカードね」
 そのカードの絵を見て言ってきた。
「好きな絵だわ。けれど」 
 目が赤く光った。それだけでカードは全て消えてしまった。
「むっ」
「私を傷つけることは出来ないわ。それでは」
「私のカードを。こうも簡単に」
「やはり一筋縄ではいかないようですね」
 後ろにいたアンジェレッタが前に出て来た。
「なら。次は私が」
 その手に光を宿らせる。そしてそれを矢にして放ってきた。
「これなら」
「今度は光なのね」
 だが少女はそれを前にしてもやはり身動き一つしなかった。
「奇麗な光ね。銀色で」
「褒めてもらって有り難いわ」
「けれど。私は銀色よりずっと好きな色があるのよ」
 冷ややかに銀色の矢を見ながら言った。
「それは・・・・・・黒」
 そう言うとまた目が赤く光った。それで銀の矢は闇の中に消えてしまった。
「凄いですね」
 速水は二人の攻撃を何なく消してしまった少女に賞賛の言葉を贈った。
「そこまでとは」
「だから言ったでしょう?」
 少女の言葉は二度の攻撃を退けた自身と余裕に満ちていた。
「死神を倒せる人間なんていないのよ」
「普通ではね」
 それでも速水はまだ諦めてはいなかった。
「ですが先程も申し上げた筈です」
「諦めが悪いのね、随分」
「よくおわかりになられましたね」 
 その言葉を受けてすっと笑った。
「私は存外諦めの悪い男なのですよ。一人の女性を慕い続けているのですから」
「運のいい方ですね、本当に」
「素敵な方ですよ、まるで夜の闇の様に」
 アンジェレッタにも述べる。
「そしてその方をこの腕の中に収めるまでは私は死ぬわけにはいかないので」
「私に勝つつもりなのね」
「そういうことです。それでは手段を変えましょう」
 彼は述べた。
「私も。序の口ではなく」
 今度は大アルカナのカー
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