第三十二章
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含んだ不思議な色の霧に似た気が。それが人としての形になるのに左程時間はかからなかった。
「よくここがわかったわね」
あの少女であった。二人に顔を向けて言ってきた。
「どうやら。気付いたようね」
「はい」
速水が彼女に答えた。
「貴女が何処に出られるのかをね。ようやくわかりましたよ」
「そう。では私が何かもわかるわよね」
「そうですね」
速水はその言葉にも答えた。
「貴女はローマの歴史そのものです」
彼は言う。
「長い間ローマで培われてきた様々な流血から成ったもの。それが貴女です」
「そうよ。そして私は死神なのよ」
ぞっとするような不気味な笑みを浮かべて述べてきた。
「ローマが生み出した死神なのよ」
「道理で」
速水はそれを聞いて納得した。
「あれだけの妖気を持っておられる筈です」
「納得してくれたみたいね」
「はい」
頷いて答える。
「では。かなりの力をお持ちですね」
「それはもうわかっていると思うけれど」
少女の笑みがさらに邪悪さと凄みを増してきていた。
「そのうえでここに来たのでしょう?」
「ええ、まあ」
速水は既に身構えていた。アンジェレッタも同じである。
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