第三章
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る。なお彼は錬金術に対しても知識がある。
「今こうしてここにいられますし」
「それもあって貴方を御呼びしたのですよ」
「そうだったのですか」
「はい、それでですね」
「はい」
話は本題に入った。
「実は今このローマでおかしな事件が起こっているのです」
「お話は一応は聞いています」
速水はそれに応える。二人は空港を出てタクシー乗り場に来ていた。
「何やら。女の子が関わっているとか」
「ええ、それです」
「どんな事件ですか」
速水は右目を彼に向けて尋ねる。右目の光は冷たく、それでいて知的である。だがそれと共に何かを探る目であった。だがそれは右目だけであり左目は見えはしない。そこに見ているものが何であるかは他の者にはわからないのであった。知っているのは彼自身だけであった。
「詳しいことはあとで。来ましたよ」
「はい」
タクシーがもう来ていた。二人はそれに入る。
「イタリアではタクシーを利用することが多くなりますよ」
「あと電車ですね」
「ええ。ただし地下鉄はあまり役に立てません」
彼は述べた。
「それは何故かというと」
「地下鉄の線が二本しかないからですね」
「御存知でしたか」
「その訳も」
口元で笑って言葉を返した。
「ローマは歴史のある街です」
速水はその硬質の声で述べた。
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