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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十章 その場所へ想い走らせたならば《1》
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 だから彼も、少しは心配はしているみたいだ。
 悪ふざけはこれまでにしておいて、
「頼むぜ」
「了解した」
 ただ一言。
 それだけで行うことは理解出来る。
 ルヴォルフは短刀を握り、正面を西貿易区域へと向ける。
 彼と西貿易区域を阻む形となった者達は二つに分かれ、間に一つの道をつくった。
 誰もがルヴォルフの方を見ている。
 変に緊張している自分に気付きながら、息を一回吐く。
 それから間も開けずに、
「おおおおおお――――――!!」
 叫び、駆ける。
 短刀を握る右手は腰の位置に。
 獣人族のため、辿り着くまでに時間は掛からなかった。
 刺す勢いのまま、ルヴォルフは握る短刀を結界へと突き刺した。
 そして起こる拒絶の現象。
 日来の者のみを阻む結界が、短刀を阻んだ。
 押し返してきたため、力一杯押し込んだ。
 雷撃に似たものがほとばしり、激しい流魔光で辺りを照らす。
 眩しい。
 目を細目ながらもルヴォルフは短刀と結界を見て、様子の方を伺った。
 結界の向こう側に、刀先が突き出ている。
 行うまでは半信半疑だったが、徐々に刀先が入った部分から結界にひびが入っていく。
 最初は小さな。しかし後にしたがってひびが広がっていった。
 鉄を切るかのような高い音。
 結界が短刀の侵入を阻み、弾こうと無理に力を掛けてくる。
 ルヴォルフが更に力を掛け、結界に短刀を突き刺した時。
 起こった。
 短刀の刃を包んでいた布が解け、なかから刃が現れた。
 刃と峰のある、流魔によって黒に染まった刀。
 だが、その短刀から走ったのだ。
 無数の蛇が。
 黒い蛇が短刀から一気に放たれ、結界の表面を走った。
 一つ二つではない。
 数百という、とてつもない数だ。
 それら全てを結界は阻み、戦場に騒音と閃光が放たれる。
 何が起こっている、と口に出す者もいれば、ただ単と見ているだけのものもいる。
 巨大な西貿易区域に張られた結界には、無数の蛇が渦を巻くように流れていた。
 誰もがその光景に目を奪われるなかで、結界は阻みの限界を迎えて突如として壊れた。
 硝子を割ったような冷たい音と共に、半球状の結界が消えた。
 結界は崩れ落ち、地上に落ちる前に流魔となって消えていく。
 同時に、ルヴォルフが握っていた短刀は砕けた。
 役目を終え、刀であることを捨てたのだ。
 再び、別の形になることを願って。
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