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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十章 その場所へ想い走らせたならば《1》
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に呑気だな」
「ところがどっこい、これを見よ」
 立ち上がるセーランは、スボンの左ポケットに手を突っ込む。
「助けてー、狸右衛門――!
 もうしょうがねえなあ、伸男君はー」
 盗賊アニメの狸右衛門の毎回言われる台詞を言いながら、八頭に渡された短刀を掴む。
 手を出し、握られた短刀をかざし、
「ピキュン、シュシュシュシューン! タッタカタッタ、タータタ――ン。
 結界を壊すらしいなんか古いような重たい変な文字が書いてある布に巻かれた短刀――!」
 効果音を口ずさみ、皆に短刀を見せ付ける。
 掲げた短刀に皆は目をやり、おお、と言葉を漏らす。
 鈍く光るそれは、確かにただならぬ雰囲気を感じる。
 くすんだ黄色の柄の短刀を、ルヴォルフへと向ける。
 刀先が指すのはルヴォルフの身体で、セーランは短剣を宙で一回転させて柄と刃を逆にした。
「結界を壊すのはお前達の役目だ。目の前にいたからルヴォルフ、お前が代表でやれ」
「俺がか?」
「おう。やりたそうな顔してたしな」
 本人は気付いていないのか、首を傾げて渡された短刀を受け取った。
 見た目によらずずっしりとしていて、内なる力を感じた。
 持っただけで分かるこの力。
 この刀にある能力ではなく、外部から与えられた能力だろう。
 なんとなくそう感じた。。
 握り、短刀を見詰めながら思った。
「結界を壊す担当に結界を壊す短刀を託す、なんつってな!」
「「は?」」
「ひでええ、お前らひでえけど息ぴったりで羨ましいぞ!」
 いいギャクだと思ったのにと、内心思うセーランは地団駄を踏む。
 ギャグを否定されたのと、仲間が異様に仲良くなっていることをすねているのだ。
 皆はそんな長に呆れて物言えないが、ほっとくのも面倒なので数人がなだめる。
「ほら、いじけないでくださいよ」
「あんたのこと嫌いなわけじゃないんだから」
「誰も長のこと嫌いじゃありませんから」
「え、それマジで!? なら今日俺、君のために戦うから!」
「え? えええ!?」
 近くにいた二年生の女子学勢の肩に手を置き、セーランは言う。
 当然、いきなり言われた後輩はわけが分からない。
 ここで止めに入ったのはロロアだ。
「止めてくださいよ、困っているじゃありませんか。これから告白する人の台詞とは思えませんねえ」
「別腹ですから!」
「何かですが!?」
 こちらもわけの分からない返答をされて、ついツッコんでしまった。
 くすくすと何処かから笑いの声が聞こえる。
 戦闘中というのに、こんな感じでいいのだろうか。
 ロロアは心配になる。
 そんなロロアの心を見透かしたように、彼女の肩をセーランは数回叩く。
 三回。
 セーランが三回叩く時は、大抵彼自身も同意らしいことは美兎から聞いている。

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