第一物語・後半-日来独立編-
第五十章 その場所へ想い走らせたならば《1》
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
目の前にある。
だから流魔線を民家の間に立っている縦長い柱に繋げ、巻き取るように流魔線を縮めて大きく大ジャンプを行った。
高い。
十メートル行っているかどうかの、高いジャンプだ。
飛んだまま、セーランは西貿易区域へと突っ込もうとした。
が、ふと右を向けば仲間がいた。
結界を壊しに来た者達で、何やら攻撃の手を止めていた。
きっと結界を壊してくれたに違いない。
頼もしい仲間を持ったものだと、感心しながら、
「おっ先に失れ――い」
「おい馬鹿! 待て!」
地上でセーランを見付けたルヴォルフが慌てた様子で、言葉を掛けたが構わない。
言いたいことがあるなら、映画面|《モニター》を使ってくるだろう。
だから無視し、結界へと突っ込んだ。
「あらぶ!?」
そして、結界に激突した。
当たり前だ。
まだ結界は破壊されていないのだから。
ルヴォルフはそれを言おうとしたのだが、セーランは聞く耳を持たず行ってしまった。
ため息をつくルヴォルフは、結界に衝突し、落ちるセーランを見た。
別にセーランのことなのだから、あれくらいの高さから落ちたところでなんともない。
思い、地上に落ちたセーランは落ちるや否や、走りルヴォルフ達の元へと行った。
額は赤くなり、痛そうだ。
「お、お前ら、結界破壊したんじゃなかったのかよ!?」
「してたらとっくに連絡が行ってる筈だ」
「あ。あー……まあ、ねえ……」
一拍置いて、
「やっぱ馬鹿長だな」
「ああ、やっぱり馬鹿長だ」
「変わらず馬鹿長ね」
「何時もの馬鹿長ですねえ」
口々に言う。
そして笑う。
何かがおかしくて、皆は声を出して笑った。
意味が分からないセーランはただ戸惑うしかなく、一人だけ置いていかれたような気がした。
「く、くそう! 俺だけ独りか、ぼっちかこの野郎うう! 俺も交ざるぞ、そこに交ざるぞ。誰か俺を受け止めてえええ」
セーランはジャンプして、群れをなす仲間への落下していく。
目標は女子の群れだ。
筋肉質の男子には興味は無い。
落ちてくる長を、誰が受け止めるのかと地上は騒いでいる。
君がやってとか、オレは嫌だとか、ここは先輩方がとか、ここで先輩に頼るなとか。
長の嫌われっぷりが目に見えて分かる。
ので、誰もセーランを受け止めることはしなかった。
「おい、お前ら長をなんだと思ってるんだよ!?」
地面へと落ちた。
着地しようとしたが、バランスを崩して額から行った。
土の地面に額がぶつかり、音は立たなかったものの、見るからに痛そうだった。
くそううう、と何やら聞こえるが、気にしない方向で行く。
呆れながらも、うつ伏せになっているセーランに向かって、
「時間の無駄だ。時間が無いというの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ