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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十章 その場所へ想い走らせたならば《1》
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わざ仲の悪い黄森か朱鳥天と関係を持つことはしないだろうからな。
 いいか? 宇天長を救出することで、日来は確実に利益を上げられる。てめら日来に残ったんだったら腹くくれ。高等部かはもう大人の仲間入りなんだよ。何時までの子ども染みた考え持ってると張り倒すぞ」
 言い返す後輩はいなかった。
 空気を読んでか、単に出来無いからか。
 どちらにしろ、空気が少し重くはなった。
 一年生にはこの空気はあまりにも重たいものだ。だから後輩に気を遣う。
 レヴォルフは手を叩き、皆の視線を集める。
 皆の視線が集まると、腕を組み、真っ直ぐ向いたまま。
「出来るか出来無いかは俺達三年生でも何も言わん。皆、得意不得意、器用不器用あるからな。だがな、やるかやらないかの二択で、やる方を選び、選んだにも関わらず投げ出す者には怒りをぶちまけるぞ。
 お前達は何故日来に残った。日来にいたかったからではないのか。それゆえにこの戦いに身を投じ、自身の手で日来を救おうと思ったのではないのか。お前達がどう思っているかは知らんが、俺はそうだ」
 低い、獣の声が聞こえる。
「ここまで来て諦めるのか、お前達は。俺はごめんだ。意地でもこの結界を壊し、宇天長の元へと俺達の長を向かわせる。俺達の長が、結界の破壊を諦めた皆を見たら、どう思うだろうな」
 推測だが、
「きっとあいつは笑うぞ。しょうがないと言いながら笑い、皆に笑顔を配ろうとする。しかしな、あいつは馬鹿長呼ばわりされているが……それでも一人の人間だ。好きになった者の元へ行けずに、もう会えないと解った時、悲しみ苦しむだろう。ここで諦めたのなら、長に一生の傷を負わせることとなる」
 理解出来たのか、一年生の表情が暗くなる。
 やる気が下がったのではない。
 自身の浅はかな考えを、愚かだったと反省しているのだ。
 そこから来た表情だ。
「一年生には知らない方のが多いかもしれんが、俺達の長は他人を頼っているようで頼らない。頼れない、と言った方が正しいのかもしれんな。あいつはな、昔は口数の少ない子どもだったそうだ。長になるなど皆が思わない程のな。しかし、あいつは変わった。今までの自分を改めて、今の馬鹿長呼ばわりされるまで明るくなってな」
 しかし、その代償もあった。
「だが、明るい性格に至るまで、一人で全てをやってきた。そのまま成長し、だからあいつは人を頼れなくなったんだ。何もかも一人でやろうとする。人はそれを“自ら進んで”の言葉で解決しようとするが、それは違うぞ。頼る方法が分からないから、あいつは一人でやろうとする」
 これはネフィアから聞いた話しだ。
 自分は中等部中頃から日来学勢院に転入してきたため、明るい性格の彼しか知らなかった。
 だから、彼にそんな過去があったと知った時は、彼の強さを感じると同時に、何時かは
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