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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十章 その場所へ想い走らせたならば《1》
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 言うレヴォルフは攻撃を行っている仲間達を見て、ふと思う。
 既に自分達は西貿易区域に辿り着いていると言っても過言ではなく、宇天長の解放時間が早まるのは確定的でもあった。
 これは推測でしかないが、早まるならば午後十四時が妥当だろう。
 これを元に考えると、今は午後十三時四十五分を切っている。
 残された時間は残り十五分。
 たったそれだけでは、到底結界は壊せる筈もない。
 奥歯を噛み締めて、なんとも言えない苛立ちを得る。
「本当に壊せんのかよ……」
 誰かが言った。
 それに呼応するように、
「くそ、もう無理だ」
「こんなでけえもん、短時間で壊せって言うのが無理あるだろ」
 次々に口にする。
 多くは一年生だ。
 無理も無いと、レヴォルフは思う。
 彼らはまだ入学して半月も経っていない。弱音を吐くのは当然と言えば当然だろう。
 だが、四組の三年生はそれを許さなかった。
「てめら、それマジで言ってんのか!」
 その一言から始まった。
「この戦いにはな、日来の未来が掛かってんだぞ!」
「な、なら先輩。宇天長を救出する必要が何処にあるのでしょうか」
「まさか、てめらそれを考えずに来たのか。ったく、まだ青いから仕方ねえな」
 鋭い目付きの、名の知らない者が言う。
 この騒ぎで一時攻撃が止み、皆は彼の言葉に耳を傾けた。
「宇天長を救うってことはな、この辰ノ大花を救うってことなんだよ。このまま宇天長が解放されれば、宇天長は委伊達家唯一の生き残り。つまり宇天長が解放されれば辰ノ大花を納める家系がいなくなり、代わりに黄森よって納められるだろうよ」
 間違っていない。その通りだ。
 後輩達の数にしてみれば少ない三年生達は皆、そのことを口には出さない。
「日来が存在し続けるには他地域の協力が必要だ。宇天長を救出したなら辰ノ大花にとてつもねえ借りを作ることになる。それに辰ノ大花が日来に協力すれば、辰ノ大花と仲のいい嗚虎に協力を仰ぎ易い。世界から危険視されてる日来に協力してる辰ノ大花でも、嗚虎はそう簡単には辰ノ大花と縁は切れねえよ」
 何故ならば、
「奥州四圏は五つの地域によってなってるだろ? 黄森と朱鳥天は繋がりがある。黄森は元は朱鳥天に属していたある一族が築いた地域だからな、当たり前だな。そして色宝甲盾は中立態勢をずっと取っている。辰ノ大花と縁を切ったなら頼れるならそこだが、中立ってことは日来にも手を貸す可能性があるってことだ。じゃなきゃ中立じゃ無くなっちまうからな」
 改めて理解させるのは、そう悪いものではない。
 むしろあのまま好き勝手に発言されたら、こちらもやる気が出ない。
 一息付いて、また話し始める。
「結局、辰ノ大花から縁を切ったら損するのは嗚虎の方だ。仲のよかった辰ノ大花から縁を切って、わざ
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