A’s編
ドМなの?
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大切な親友に、そんなことをしてほしくなかった。
だからボクは願ったんだ。
元通りの、優しい親友に戻りますようにって。
願いはかなった。
親友は少しずつだが、良好な関係を築くことができていった。
そして、ボクは少し違和感を感じた。
どうしてあのコミュ力カンスト気味の親友が関係を築くことができなかったのか。
どうしてボクの願いはこんなにも叶うのか。
そんな時、思い出したんだ。
九十九家に伝わる伝説を。
なんでも、九十九の名を持つ人間は神から祝福され、願いが叶うと。
ただし、百人目の九十九の名を持つ者の周りには、不幸が訪れると。
そんな伝説だった。
ちょうど、ボクが百人目だったんだ。
つまりは、ボクのせいで彼女は幸せを壊され、親友は良好な関係を築けなかった。
そう、わかってしまった。
不幸は長く続かず、すぐに元に戻ったのだが、結局はボクのせいだった。
現実を受け入れると、なぜか頭の中がすっきりした。
つまりは、こういうことだろう。
ボクの傍に誰もいなければ、誰も不幸にならない。
その考えに至った次の瞬間、親友を見つけた。
会社の帰りらしい。スーツを着ている親友に話しかける。
「ねえ、いま、ひま?」
親友はボクを見つけて笑い、返事をしてくれる。
「こんなとこで会うなんて、珍しいな。今か・・・アイツが家で待ってるだろうし、これから来るか?」
親友の優しさに何かを感じるが、ソレを押し殺してボクは親友と彼女の住む家に行く。
そこにいる二人は、本当に幸せそうで。
その幸せを壊していいのか、不安になった。
でも、ここで壊してしまわないと、同じことが繰り返されてしまう。
だとしたら、ボクの手で・・・。
「ちょっと台所借りてもいい?なにか作るよ」
「え?そんなの、彼がしてくれるから座ってなよ」
「っておい、お前が作るんじゃないのかよっ」
「えー?わたしはー、お掃除とかして疲れちゃったんだけどー」
「何その超棒読みっ」
二人の夫婦漫才を見て少し笑い、すぐに終わるから。そういって立ち上がった。
そしてボクは台所に立ち、包丁を手に取る。
これで、二人を・・・。
「あれ、はやかったな・・・っておい!包丁持ったまんまこっちくんな!」
「包丁持ったままは危ないよ?」
「・・・・・」
ボクは何も話さない。
何も話さず、ただ包丁を構える。
「・・・おい、どういうつもりだ」
「どうもこうも、見てのとおりだよ。ボクが二人を救う。だた、それだけ」
そう言ってボクは素早く近づき、親友の腹に包丁を突き刺し、引き抜く。
「ぃ、いやぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁああぁぁ!!」
それを見た彼女が叫び、座り込んでしまう。
「ゆる・・・さ・・・ない・・・ッ!
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