A’s編
ドМなの?
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数日後。
あれからずっと事件の片付けがあったせいで自由な時間がなかったが、今日はなんとか時間がとれたので、慎吾を呼び出した。
「陽龍、どうしたんだ?」
「お前に、話があるんだ」
「俺に?」
「いや、少し違うか。内山慎吾じゃない。用があるのは三島大吾であり、連続通り魔殺人犯だ」
オレは慎吾をしっかりと見て、言う。
連続通り魔殺人犯。
両親と紗羅、そしてオレを殺した人間。
「・・・なんのことだ?いつもの冗談にしたって、殺人犯呼ばわりは酷いぞ?」
「わかってるんだろ?それとも、こっちの名前のが分かるか?なあ、どうなんだ、九十九輝希」
「ああ、そういうことか。キミだったんだね」
突然、慎吾の口調が変わる。
「そっかそっか。ぜーんぜんそれっぽい反応がないから、もっと違う人だと思ってたよ。でも、これも因果かなにかかな?ねえ、そう思わない、大吾くん」
九十九輝希。
連続通り魔殺人犯の、名前。
あの日、オレが最後に教えてもらった、名前。
「オレがそんなこと知るわけねぇだろ。てか、話があるっつんてんだろ」
相手がコイツであるでいで、オレの口調も大吾の、少し荒いものになってしまう。
「なんでお前がココにいる。美愛が好きってんのは、どういうことだ」
「キミも会ったでしょ?エリザと、紗羅ちゃんに。転生させてもらったんだ。そして特典として、ボクは最後の人たちに会わない限り、記憶が戻らないようにしてもらった。
「俺」が美愛ちゃんのことを好きなのは本心からだよ。まあ、「ボク」も好意を持ってるけど。なにより、美愛ちゃんはボクの好きだった人に、そっくりだ」
「美愛が・・・?」
「そう。久しぶりに会えたお祝いに、ちょっとだけ昔話をしてあげるよ」
ボク、九十九輝希は名前からもわかるかもしれないが、あの村・・・九十九村の村長の息子だったんだ。
優しい家族に囲まれて育った。
そして、当時のボクには許嫁がいたんだ。
ボク自身、彼女のことが好きだったから別段反対もしなかったが、彼女は違った。
彼女には、好きな人がいたんだ。
ボクは自分の気持ちだけを押し付けるのが嫌で、両親に頼んで許嫁を解消してもらったんだ。
そして彼女は自由の身となり、好きだった人に告白した。
なんの奇跡か、その相手はボクの親友だった。
それを知ったときは羨ましくて、妬ましかったが、それ以上に幸せになってほしいと願っていた。
ボクの願い通り、二人は結婚して幸せな家庭を築いた。
ずっと、永遠に続くはずの幸せを築いていたんだ。
でも、その幸せは長く続かなかった。
親友が、彼女に暴力を振るうようになったんだ。
なんでも、職場で良好な関係を築けない八つ当たりらしかった。
ボクは止めた。
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