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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第四七幕 「嵐の前、乙」
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かと思うことがあるほどだ。相手に与えるストレスや不安を見えないところで減らし続け、結果として互いに何も言わずとも問題も不満もない状況にする、それが彼女のコミュニケーションの仕方なのだろう。
そんな彼女にとって僕の負担を軽減する方法が分からない現状はさぞもどかしいだろう。だから表だっては言わないが、ふとした拍子に内心の不満が露出する。

ふむ、これは由々しき事態だ。ただでさえ世話を焼いてもらっている彼女にこれ以上心労を溜めさせるようなことをしたくはない。そうと分かれば一刻も早くリハビリを次の段階へ進めなければならない。リハビリの成果が出れば僕の負担も減る。そうすればミノリもあの不満げな視線をこちらに向けなくなるはずだ。



もうすぐツーマンセルトーナメント第一回戦が始まる。何の因果か一回戦の選手はオリムラとミノリのコンビだった。対戦相手は・・・確かシノノノとボーデヴィッヒだったか。面識がないのでどんな人たちかは知らない。

「・・・このリハビリが終われば、話すこともあるのかな」

リハビリが終わるとき。それはISを拒絶しなくなるときとイコールになる。今は自分の髪留めとして毎日を過ごしているこの“モナルカ”を身に纏うようになれば、一度や二度は顔を合わせることになるだろう。

もっとも、克服できればの話だが。







ピクリとも動かずにモニターを見つめ続ける小さな背中を後ろからじっと見つめる。健全と不健全でいえば不の付く方に分類される体躯のどこにそこまでタフな精神があるのか、その小柄な少年は決してリハビリを止めようとはしない。
カウンセリングは並行して行っている。ナノマシンによる投薬治療も行っている。その二つで十分ではないかと思うのだが、少年はそれではだめだと頑なに意志を曲げなかった。彼の意志を尊重して始まったリハビリだが、正直様子を見る私からすればさっさと止めてほしいと思っている。

私が彼の監視役を仰せつかったのは、ただ単純に彼のリハビリが行われる1組の“IS訓練”の時間にわたしのする授業が重なっていなかったというだけの単純な理由だ。

正直御免被りたかった。男性IS操縦者だか何だか知らないが、唯でさえ世話の掛かるガキンチョ共に手を焼くというのに特別扱いを3人追加?そしてその中でも一番手間のかかるガキの面倒を見なければならない?
ふざけているのか。たかが被験者三人のデータを学園内で撮ったところで男性操縦者がISを動かせる秘密など分かるとは到底思えない。ならもう「男はISを使えないけどごくまれに使えるやつがいる。原因は不明」ってな感じで結論を出してしまえばいいではないか。それでも気になるなら研究施設にでもぶち込んで好きなだけ調べやがれってなもんだ。現場の私たちに負担を強いる意味が分からない。


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