暁 〜小説投稿サイト〜
【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第四七幕 「嵐の前、乙」
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前回のあらすじ:そんな餌に釣られクマー
最初に言っておくと、これから僕がやることは時期尚早であると僕自身が自覚している。
リハビリの成果はほんの僅かながら出てきている。だがそれは精々吐気が僅かながら和らいだとかそんなレベルのもので、未だにISに対する拒絶反応は全くと言っていいほど拭えていない。それはまぁ、客観的にみれば仕方無いことかもしれない。心の傷なんてそうそう癒えるものじゃない、そんなことは分かっている。しかし、僕には急がなければいけない理由がある。そのための荒療治だ。
今まではISの待機状態、動いている姿や飛んでいる姿などを見て慣らしてきた。だが今回はIS同士の直接戦闘を見学して耐性をつける。そもそもISに対するトラウマが形成された“原因”を考えると、むしろこちらの方が得るものがあるのではないか。そう考えての試みだ。
今回はさすがの監視係の先生(名前は・・・何だったかな?)も手放しで看過できなかったのか、彼女は僕の過ごす個室の後ろの方でいすに座りながらじっとこちらを見ている。問題あらばすぐにでもリハビリを中止させようという気概が大気を通して伝わってきた。
リハビリを始めてすぐ、ミノリには僕が“何かやっている”ことを勘づかれた。それはそうだろう。あれから下着やジャージの洗濯回数が増えたし、体調も少々悪化している。保健室でも昼食を食べた後は次の授業時間まで眠って体力を温存し、夕方にフラフラになって部屋に戻る。そんなことを続けて不審に思わないルームメイトはいない。
だからと言って彼女はそれについて深く掘り下げようとはせず、やはり適当なところで話を切った。だが、今回は今までと少し違う。時々こちらを不満げな視線で見るようになったのだ。その視線自体はほんの一瞬で、次の瞬間にはいつものミノリに戻っている。今まで彼女がこんな行動をとることはなかった。
真剣に理由を考えていると、初めてミノリと会話した時の言葉が脳内でリフレインされた。
―いやそれは気になるでしょ人として!朝目が覚めたら同居人がぽっくりとかマジでシャレにならないから!!
ひょっとして、ただでさえ弱い体がさらに弱っている僕がそのうちぱったり倒れてしまうことが嫌なのか。確かに同居人が倒れた理由が体調不良だと、同室の人間に少なからず非難の目が向きそうだ。要は“ルームメイトの心労を増やすようなことを勝手にやるんじゃないよ!”という彼女なりの不満があったのか。ミノリはあまり表だって他人の世話を焼くことは殆どしないが、目に見えない気遣いは人一倍多い。たとえばお菓子(彼女はおかきや煎餅を好む)を食べるときは匂いが部屋に充満しないように換気扇の近くで食べてるし、僕が部屋で物をなくすと大体ミノリが発見してテーブルの上に置いてくれる。心を読まれているのではない
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