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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第四六幕 「嵐の前、甲」
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ま再び泥の中に引きずり込まれる。
銀髪の少年がこちらに手を差し伸べるが、それは後ろからつかみかかった誰かの手によって払われる。
その時、肩から手が離れたために後ろの誰かを首をひねって確認しようと試みた。視界に移ったその“誰か”は・・・
〜
「おーりむーらくーん?そろそろ起きてくれないと・・・財布のマジックテープをバリバリしちゃうゾ?」
「やめて!!・・・・・・はっ?い、いつの間に寝てたんだ?」
どうやら教室で堂々と居眠りしていたようだ。数か月前までは居心地が悪くてしょうがなかったこの学園に自分が馴染んだ証拠かもしれない。
それにしても、何か変な夢を見ていたような気がするのだが・・・はて、どんな内容だったろうか。人間は寝ている間に実はたくさんの夢を見ているらしい。そんな夢を一つ一つ覚えている人間などいないだろう。だから思い出せなくても問題はないのだが、「夢を見ていた」という記憶あるだけに内容を思い出せないのがもどかしい。
「で、そろそろいいかな?」
「え?あ、佐藤さん?起こしてくれてありがと。それで、どうかしたのか?」
わざわざ起こしてやったのに待たされたせいか、佐藤さんは若干不機嫌そうである。が、そこでぐちぐち言わないのが佐藤さんのいい所。先を促したら普通に話してくれた。
「トーナメント表が発表されたから皆見に行っちゃったよ?私たちも確認しに行かないと」
「そうか、ようやく・・・よーし、さっそく確認しに行こうぜ、佐藤さん!」
とうとう学年別トーナメントが始まるという実感と、早くユウと自分の名前を確認したいという思いを抑えきれず、一夏はダッシュでトーナメント表の発表場所に急いだ。それを見送る佐藤さんはやれやれといった風に溜息を吐く。
「そんなに急がなくてもトーナメント表は逃げないってば・・・まったく子供だねぇ」
織斑一夏という男は良くも悪くもガキっぽい所がある。すぐに感情的になる、すぐに調子に乗る、馬鹿正直、妙に正義感が強い等々・・・精神年齢40歳越えである佐藤さんはその青臭い所に少々ついていけない部分があったため、タッグの練習を積んだこの数日は何度も辟易させられたりした。
それでも不思議と憎めないのが彼の人間の魅力と言える。だからと言って自分はあれに恋愛感情など湧かないのだが。
「佐藤さーん!さっさと行こうぜー!」
「はいはい慌てない慌てない」
逸る気持ちを抑えきれずに興奮している一夏を収めつつ、例の表を確認しに行く二人。その姿は同級生というよりも子の世話を焼く親のようであった。
織斑一夏の名が刻まれているのはAブロック。そして、そこから少し離れた場所に、一夏が戦いたくてしょうがない一人の男の名も刻まれていた。
「ユウもAブロックか・・・
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