第二十七章
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カード達は円を描いて回る。そこから一枚のカードが現われた。
出て来たのは教皇であった。五番目のカードであり学問的な知恵を司る。ある意味この街に相応しいカードであると言えるものであった。
「それですか」
「はい、ここからです」
速水は真顔で述べた。するとカードから何かが出て来た。
姿を現わしたのは教皇であった。白い法衣に身を包んだ知的な美男子であった。よくイメージされている厳しい顔の老人ではなかった。
「教皇ですか」
「はい、彼です」
速水は述べた。
「彼が指し示してくれます」
「それこそが謎ですか」
「このローマにあるもの全てを知ることが出来ます」
「それが教皇」
「そうです。さあ」
教皇に語り掛ける。穏やかだが力のある声で。
「今こそそれを。示して下さい」
教皇は速水の言葉に無言で頷いた。そしてその右手が緑に光った。
「むっ」
アンジェレッタがそれに注目すると教皇は指を動かした。その指で宙にその緑の光で何かを書いていくのであった。それはラテン語であった。これは当然であると言えた。何故なら教会はかってはラテン語を公用語としていたからだ。その為マルティン=ルターは聖書をドイツ人の為にドイツ語に訳したのである。農民戦争では宗教家としての限界も見せてしまったと言われているが彼もまた偉大な宗教家であったのは事実である。
「むう」
「これは」
速水もアンジェレッタもラテン語を解することができる。ラテン語は欧州のあらゆる国の言語のもととなった言葉であり非常に重要とされているものだからである。占いの世界でもそれは同じであるのだ。
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