時宮遭遇
Trick50_なんのつもりかしら、“碧空(スカイ)”
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見るのではなく、“存在”または“物”として認識しているときだ。
普段の彼女ではない、『氏神 クロム』というトップに立つ人間の思考。
完全に“スイッチ”が入った状態だった。
ならば一筋縄ではいかない。信乃も意識を切り替えて“スイッチ”を入れる。
アカを持つ5族を取り纏める長と、アオを持つ玖族から追放された末裔の少年。
艶やかな赤髪の女性と、透き通るような碧眼の少年が睨みあいになった。
「どうしても聞けないと言うの?」
「当然ですよ。今限定で言えば、俺以外に美雪を支えられる人いない」
「どこからその自信は来るのかしら?」
「家族だから。それ以上でもそれ以下でもない。
もっと細かい理由が欲しいなら言いますけど?」
「あなたの惚気話を聞いている暇はないの。早く行きなさい」
「お断りします」
「そう、“話し合い”は通じないようね」
「話し合い? 一方的に自分の主張を押し付けるのが話し合いですか?
それで話し合いが通じないなら、どうするつもりです?」
「もちろん、暴力よ。“枯れた樹海”(ラストカーペット)」
右手を上げ、パンチ! と指を鳴らして合図を出した。
空いたままの病室のドアから一人、入ってくる。
見なれた仲間、神理楽高校二年十三組所属、宗像形。
十三組所属ということは、四神一鏡の所属部隊でもある。
それはつまり、氏神の下僕と同意義であった。
「宗像・・・・」
「信乃、俺が言いたいことは分かるな?」
「もちろんだよ」
「「殺す」」
物騒な言葉を同時に言う2人。
だが言葉には殺気も闘気もやる気も一切含まれていなかった。
「く・・・・くくくくく」
「おいおい、何で笑いを堪えてんだよ宗像・・・クク」
宗像が入ってきた時の、信乃とクロムが話していた時の雰囲気は全くなくなっていた。
「ちょっと、宗像、あんた・・・」
その雰囲気にクロムは困惑した。
しかし信乃も宗像もいつもと変わらず話し合っていく。
「いや、僕のことをよく分かっていると思ってね」
「別に殺人者の考えなんて理解したくもないけどな」
「そんな冷たい事を言わないでほしい。ショックで思わず自殺したくなる」
「殺人者が自殺? ハッ! 面白いこと言うじゃないか。
やるっていうなら無償で手伝うよ。
丁度俺も、お前に死んで欲しいと思っていたところなんだ、奇遇だな」
「へぇ、気が合うね。僕も君に死んでくれたら、どれほど幸福だろうと
以前から常々考えていたんだ」
「ま、楽しみは後に取っとかねぇとな」
「その通り」
宗像は笑う。
信乃は笑わなかった。
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