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弱者の足掻き
四話 「邂逅」
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…いねぇよな。才能あって強い奴……って、今のちょっと待て???い!!)

急ストップし、最後に見えたものをもう一度見る。余りにも自然に流しかけたぞおい。
数歩戻って振り返れば、そこにはやはり座り込んだ子供がいる。
よく見てみれば先ほどは気づかなかったが、首には鎖のついた首輪がつけられている。
それをよく見ようと一歩近づいた音にでも気づいたのか、座り込んだ子供が顔を上げる。
見れば年は大凡五つほどと言ったところだろう。所々顔に汚れがついているが、その中に幼さが見て取れる。

(男……いや女か。いやでも男にも……分かんね。
首輪となると虐待? だが、ここまで露骨にするか普通。後は人買いや誘拐だが……ガキが逃げられるか?
汚れはあってもパッと見痣なんかはないとすると……親でも亡くしたか。とすると、あったかも知れない俺の未来の一つの姿ともいえるか)

服や顔の汚れ、その気力や見た感じの衰弱具合から少なくとも親が死んでからある程度の日数は経っているだろう。
首輪をつけている理由など、想像したくはない。
それにしても、この年頃の子どもはこんなに性別が分かりづらかったか?

あったかもしれない可能性の一つを握り飯を食べながら眼に焼き付けていると、なぜか違和感を覚えた。
どこかで見たような、有ったような、何かに重なる様な違和感。
だが、その違和感が何か分かる前にその子供がこちらに視線を向けているのに気づく。
いや、正確に言うと握り飯の方にだろうか。

(今思えば、目の前で飯食ってるってのも結構外道だな。まあ、知ったこっちゃねえが……自己満足でも満たすかね)

あったかも知れない自分の可能性と思ったからか、もう少し近づいて片膝を立てた姿勢を取る。
結局のところ誰を犠牲にしてもと思いながらも、まだ一人として殺したことがない自分はそこまで徹しきれないのだろう。
いや、そもそもからしてここで子供に少しの飯を与えたからといって自分の生き死にに関わらないからだろう。

「食うか?」

三つ目の握り飯を出しながら、子供に問う。
顔を上げた子供の顔が先ほど以上に良く見え、その眼に生気がない。やはり何かが引っかかる様な気がする。
出された握り飯に少し視線を移し、その子供はこっちの眼を見ながら口を開く。

「……いいの?」
「ああ。食え食え。一個くらい構わん。そんな死んだ目してないで食って元気出せ」
「……ありがとう、おにいちゃん」

おにいちゃん。その一言にまた引っかかりを覚える。
そんな事を思っていると子供が握り飯を受け取り、生気の無かった顔を僅かに綻ばせながら両手で覆うように持つ。
その顔に再度引っかかるが、単純に罪悪感みたいなものだろうと思いつく。

……自分はこれ以上この子供に関わる気などない。たとえ少
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