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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第152話】
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った。


――男子トイレ――



 男子トイレに入ると、先客がいた。


「よぅ、ヒルト!」

「親父か……」


 先に用を足していたのは親父だった。

 その隣に行き、俺も用を足すと隣から覗き込んでくる親父。


「……ほぅ。息子のムスコも成長したもんだなぁ。ワッハッハッ!」

「……親父、中学生かよ。別に風呂でわかる事じゃねぇか」

「それもそうだな。ワッハッハッ!」


 トイレに響く、親父の高笑い――そして。


「ヒルト、俺と母さんは明日の朝一番でアメリカに戻る」

「……そっか。美冬が寂しがるな」

「……お前はどうなんだ?」

「俺?……寂しくないと言えば嘘になるな」

「ほほぅ……。息子からそんな言葉を聞くと、俺としてもお前に頬擦りしたくなるな」

「フッ、勘弁してくれよ親父」



 僅かな微笑を浮かべ、親父に告げると親父もニカッと笑顔で応えた。


「……何にしても親父、母さんの事任せるよ。テロリストに狙われてるんだろ?」

「……あぁ。まあ一応PPSもあるし、真理亜自身も狙撃や自爆テロ対策に身を守る【IS技術を応用した防御装置】を見に着けてるからな」

「……それでも念のためにな?」

「……お前も、皆の事守ってやれ。女尊男卑とはいえ、女は男に守られたがるもんなんだよ。例え情けなくてもな」

「……そっか」



 その一言だけを言うと、トイレには用を足す音だけが響く――そして。


「……さて、これから飯だな。俺達は自分の部屋でだがお前たちは違うだろ?」

「ん……。そうだな」


 用を足し終えた親父は手を洗い――。


「夜は俺も真理亜も少し外で散歩するからな、先に寝てていいぞ?」

「ん?俺も脱け出すつもりなんだが」

「……そっか。ならあまり変なことするなよ、ヒルト?」

「親父もな」

「ワッハッハッ」


 そんな笑い声だけを残して親父はトイレから出ていった。

 俺も用を足し終え、手を洗い、大広間へと戻っていく。

 既に陽は落ち、窓から見える景色は月明かりに照らされた砂浜だけだった――。
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