第一話
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けど、聞くのと見るのとじゃあ違うものさ」
「二人とも酷いものだと思うよね?じゃあ、Aクラスの設備は見た?」
そう訊かれて思い出す。
黒板の代わりにプラズマディスプレイ。ノートパソコンに個人のエアコン、冷蔵庫、リクライニングシートなど、通常の教室には必要のない様なものまで色々とあった。
「確かに凄かったねぇ、あの教室は」
「ああ。あんな教室は他に見た事がない」
「そこで僕からの提案。せっかく二年生になったんだし『試召戦争』をやってみない?それもAクラス相手に」
その言葉を聞き、訝しげに明久を見る雄二。突然の事に意味が分からないのだろう。ちなみに試召戦争とは、化学とオカルトと偶然によって出来たシステム――試験召喚システムを使い、召喚者をデフォルメした様な分身――召喚獣を使役し戦うクラス間の抗争の様なものだ。そして召喚獣の強さはテストの点数に比例するため、クラスが上になるほど有利になる。つまり、一番下である我がFクラスは負ける可能性が高い。
「あっはっはっ!本当に君は面白いねぇ明久。予想の斜め上を行かれたよ。君はやはり俺が大好きな人間だ!」
「うぉ、いきなりでけぇ笑い声出すんじゃねぇよ!まだHR中なんだぞ!」
笑い声を上げる俺に、小声で怒鳴ると言う器用な事をやってのけた雄二。
「……はあ、で?何が目的なんだ?設備が酷すぎるからなんて理由は受け付けないぞ。お前は今更勉強する環境について何か言うような奴じゃないからな」
「え?あ、えーと……」
言おうとしていた事を先に言われてしまったようで、視線を中空に彷徨わせる明久。明らかに戸惑っている。
理由は大方見当はついているが。
「そんなの言うまでもないよねぇ明久。姫路さんのためだろう?」
「ど、どうしてそれを!?ま、まさかもう何かしらの情報が!?」
面白いくらいに動揺してくれる明久。もう答えを言っているも同然だ。
「だそうだけど雄二?Fクラスの代表は君だろう?だったらこれからどうするのかも君の自由だ。明久の願いをきいてやるのか、それともそんなことはしないと一蹴するのか、君の一言で決まる。どうするんだい?」
雄二は考えるまでもないと言ったように、すぐに答えを言った。
「当然やる。俺もAクラス相手に試召戦争をやろうと思っていたところだ」
「え?どうして?雄二だって勉強全然してないよね?」
「世の中学力がすべてじゃないって、そんな証明をしてみたくてな」
その言葉に疑問符を浮かべる明久。
――本当に、小学生の時とはまるで別人と言う程に変わったねぇ、雄二。まあ、まだまだ甘いんだけど。
「ということは君の中では勝算があるって言うことだろう?」
「おう。理想や願望だけで出来ると言う程俺は子供じゃねえ――おっと、
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