妹みたいな、妹では無かった娘
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もので。
ぼろぼろに擦り切れて、焼け焦げていた。
渡される場面にたまたま居合わせて、思ってしまった。
ああ、本当に、彼女は。
死んでしまったんだ。
ふらふらとその場を離れて、どこをどう歩いたのか。
いつの間にか、彼女とよく遊んだ広場にいて。
隅にうずくまって膝を抱えて、彼女の笑顔を思い出して。
もう十四歳になっていたのに、小さな子供のように泣きじゃくった。
まだ六歳の、八歳も年下の娘に、自分でもおかしいと思うけど。
好きだったんだ。
妹なんかじゃ、無かった。
失ってから、気付くなんて。
無邪気な笑顔の合間に時折見せる大人びた表情や、寂しげな表情。
遊んであげているつもりで、いつの間にか僕のほうが付き合ってもらっていたような。
あとになって他の子供を知ってみればありえないほど大人びた、そんな彼女の内面も、可愛らしい外見も。
それだけで全部を知ってるなんて思わないけど、それでも。
彼女の全部が、好きだった。
喪失感に囚われたまま、日々をなんとなく過ごして、それなりに仕事も覚えていい歳になって、いい加減に結婚でもと親にせっつかれるようになって。
そんなある日、突然に。
彼女が、帰ってきた。
報せを聞いて急いで教会に行ってみれば、なぜか男の格好をした、でもなぜかそれすら似合ってしまっている。
美しく成長した、彼女がいた。
彼女に似つかわしい、整った顔立ちの、凛々しくも逞しい、若い男を連れて。
シスターに連れられて彼女は教会の奥に姿を消し、連れの男が村の人と話している間、僕の耳は情報を取り入れながらも、頭はずっと別のことを考えていた。
なんで、僕が彼女を守れるなんて思ったんだろう。
何もせず、ただ側にいただけで。
どうしてそのまま、ずっと側にいられるだなんて思ったんだろう。
どうして僕は、何もしないできてしまったんだろう。
彼女が生き延びた可能性を、考えもしないで。
何かしていれば、少しでも強くなっていれば。
まだ、彼女の隣にいられたかもしれないのに。
今そこにいる、彼のように。
わかってた。
何を思っても、何をしてももう遅い。
彼女の隣に、僕の居場所は無い。
例え何かしていたとしても、最初からそんなのは無かったのかもしれない。
だけど、それでも。
好きだったんだ。
ずっと、好きだったんだ。
今でも、好きなんだ。
何も言わずに、ただ黙って見送って。
それで諦めるなんて、きっとできない。
例え、彼女を傷付けても。
それでもこの気持ちだけは、伝えたい。
彼女に穏やかな生活を送らせたいだなんて耳触りのい
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