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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
八十一話:武士の一分
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は無いが、運命とか名前とか全く知らないよ。

 どうしよう。
 当てられた以上、名前を誤魔化すのはもう無理?

 と動揺する私の肩に腕を回し、ヘンリーがガッチリと守るように抱きすくめます。

「ドーラ。向こうはお前を知ってるみたいだが。知り合いか?」

 もはや相談も無く、演技に入ってくれるとは!
 なんて、頼れる男!

「ううん。覚えてない。勘違いじゃないかな?運命とか言ってるけど、私にはヘンリーがいるしね!」

 私もヘンリーの体に両腕を回して抱き付き、甘えるように見上げます。

 ナンパ兵士と、なぜかピエールまでもが驚愕の面持ちで立ち尽くします。
 ピエールの顔はフルフェイスの兜で見えないが。雰囲気で。

 ……って、ああ。
 ピエールの前で、演技入るのは初めてか。
 ごめん、びっくりさせて。

 ナンパ兵士が、震え声で話し出します。

「そ、そんな!僕のドーラちゃんが他の男とだなんて、そんなふしだらな……!!…………ふ、ふふふ。大丈夫、僕は、心の広い男だからね!僕がいない寂しさのあまりの一時の気の迷いくらい、広い心で受け止めるよ!さあ、僕の腕の中へ!戻っておいで!!」

 ホントやだもうコイツら。
 一度もいたことの無い場所に戻れとか、突っ込みたくも無いが流したくも無い。

 しかし私が目を付けられることで、ビアンカちゃんに被害が及ばなかったと考えれば、そう悪くも……やっぱり嫌だ。無理だ。

 とにかく、さっさと片付けよう。

「やだ、怖い!ヘンリー、ピエール!助けて!」

 ここでピエールに助けを求めるとか、やり過ぎてしまいそうで怖くはあるんだけれども。
 声かけないと拗ねられそうなんで、やり過ぎそうなら止める方向で、とりあえず声はかけておきます。

 あくまで私を離さないヘンリーとは対照的に、ピエールがスッと前に進み出ます。

「……強く気高き我が主を、斯様(かよう)に怯えさせるとは。その罪、万死に値する。覚悟は、良いでござろうな?」

 マジ切れ寸前です。
 え、演技ですよ?
 演技なんですよ、ピエールさん?

 ナンパ兵士が焦ったように口を開きます。

「ま、待て!この国の兵士である僕に、手を出してただで済むと」
「関係ござらぬ。ばれねば良いだけのこと」

 怖い!!
 怖いです、ピエールさん!!

 でもバレないように済ませる程度には人間的常識があって、良かった!!

 怒気とか殺気とか、色んなものを強烈に発しながら静かに歩み寄るピエールの姿に、ナンパ兵士が腰を抜かしてしゃがみこみます。

「待て!悪かった!僕が、悪かったから!許してくれ!!」
「今更許しを乞うたとて、主を怯えさせた罪が消える訳でも無し。気付くのが、遅かっ
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