第二十四章
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ートミールが来た。
ミルクの中に麦の粥がある。じっくり煮られてよい香りの湯気を出している。
「どうぞ」
「はい」
勧められるまま銀のスプーンでオートミールを口に入れる。味はイギリスのものよりまろやかな感じであった。これには事情があった。
「如何ですか」
「食べ易いですね」
「はい、イタリアの大麦の方がいいのですよ」
「土地の関係でしょうか」
「残念なことにイギリスは土地が痩せていますね」
「ええ」
だから食文化が発達しなかったのである。それでも繁栄してからも発達しなかったのはある意味驚異的なことであるが。本当に不思議なことである。かってエリザベス一世はドリアン百個とイングランドを代えてもよいとまで言った。おそらくイングランドの食事はその頃はドリアン百個の価値もなかったのであろう。
「ですから麦もミルクもよくないのですよ」
「ふむ」
「しかしイタリアは違います」
アンジェレッタの頬が緩んだ。嬉しそうに。
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