星屑の覚醒
12 動き出す知者
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だったことだ。
「Akatsuki」と名付けられたそのIDの持ち主は顔を思い出すだけでもイライラする。
彩斗はメリーの顔色を伺いながら、コマンドを入力し続けた。
Akatsuki@waxa-central-sys:~# ssh snif-sys
Akatsuki@snif-sys's password:
Akatsuki@snif-sys:~# /usr/sbin/ctrl add key "Valkyrie" "ワルキューレ" "兵器" "取引" "デンサン" "PMC"
Ok. 6 keys added.
Akatsuki@snif-sys:~# /usr/sbin/main display <<EOF
盗聴するキーワードを使いすると、システムの情報をTouchSmartに表示する。
それは膨大な量の盗聴データの流れる川のようなものだった。
安全だと判断されたものは青、注意すべきものは黄色、危険なものは赤で表示されては流れていく。
常にテロ関係のワードは盗聴されている。
だがこれが一般にバレることはない。
「WAXAにはCIAのエシュロンと同じようなシステムがある。主にインターネットや通信電波を盗聴している。でもこの無線通信が発達した国でそんなことをやっているとバレたら大問題になる」
「...ですよね」
「みんなケータイやトランサー、PETでメールを打って電話をして掲示板に書き込む。警察や自衛隊の人間だって極秘ファイルを転送するにはインターネットを使わざるを得ない。ある意味、WAXAニホン支部っていうのはニホンで一番危ないスパイ組織だ」
彩斗はそう呟くと、椅子に背中を預け、ため息をつきながら再び本を手に取った。
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