星屑の覚醒
12 動き出す知者
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なかった。
彩斗の苦しみを察していたからだ。
未だにミヤが殺されかかったのは自分のせいだと攻め続けている。
でも自分の目の前ではあまり心配させまいと必死に押さえ込んでいるのだということを感じていた。
だが部屋から出ていこうとしない。
自分が邪魔であっても一緒にいたいという感情が消せないのだ。
「....」
ただベッドの上で窓の外を見ていた。
反面、彩斗は一見、本を読んでいるようにしか見えない。
しかし全く内容は頭に入っていない。
ただ本をめくっているだけだ。
平静を取り戻すには別のことに集中する必要があった。
何度も同じ動作を繰り返すことで無心に帰る。
前にもやったことがあった。
「....はぁ」
落ち着きを取り戻しつつはある。
だが反面、新たなる怒りが込み上げる。
自分の行動の根本的なものを探していくと、辿り着くのは悪の存在だ。
自分が手を下すことになったのは、もとを正せばデンサンシティの司法が崩れ去っているからだ。
連中を警察が補導して間違った道に進むのを止めていたら?
学校の教師たちがちゃんと叱りつけていたら?
ミヤの訴えをちゃんと受け入れていたら?
「.....」
そこにValkyrieという悪が入り込んできたために更にそれに拍車がかかる。
この街全てが敵に思えてきていた。
だがこの街にもまだ善良な市民は多くいる。
そんな人々を含めて完全に憎むことは出来ない。
恨むべきは腐った街の人間とValkyrieだ。
彩斗は読めない漢字の部分で読むのを止め、顔を上げて口を開いた。
「メリー?君は何かハートレスから聞いてるか?Valkyrieがどんな組織か...とか」
「!?え....ええ、世界中で武器を売っているPMCとしては大企業で世界の紛争の6割をコントロールしている死の商人だそうです」
メリーはいきなり話し掛けられたことに驚いた。
そしてハートレスから聞いていた話を完結に話す。
これで彩斗の気持ちは決まった。
世界中に自分のような目にあった人間がいる。
彩斗には他人の痛みが自分のものに思えるほどの高い感受性が備わっていた。
その痛みは誰よりも分かっていた。
それはこの街の腐敗した司法よりもよっぽど腐りきっている。
「......」
彩斗は本を閉じ机の上に置くと電源ボタンを押す。
Pavilion HPE、TouchSmart、Envy15が一斉に起動し、鮫のエンブレムが表示された。
エンブレムは数秒で消え、深海を思わせエンブレムが右上にプリントされた壁紙のデスクトップが現れた。
そして黒い端末コンソールを呼び出す。
「?」
メリーはPCに向かい始めた彩斗に問いかけた。
だが彩斗は黙ってアイソレーションタイプのキーボード
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