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流星のロックマン STARDUST BEGINS
星屑の覚醒
12 動き出す知者
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図星だった。
彩斗はこの数週間での出来事を話す気はなかった。
実際、話したところで信用してもらえるとも思えないからだ。
メールに送られてきたファイルを実行したら電波変換したなどと言っても理屈では片付けにくい。

「まぁいいわ。あなたに構ってる暇は正直なところ全く無い。Valkyrieがこの街でディーラーの施設を乗っ取り続けている。あなたの起こした殺人で現場からあなたの指紋や髪の毛なんかの証拠を消し去るので時間を裂くことになった」
「...悪かったよ。私怨で暴走したのは分かってる。でも...僕はメリー以外に家族と呼べる人はいない。唯一、親しくなった友達が....家族に思えてくる....。そんな人が社会のクズの自己満足のために命を失いかけている」

彩斗は下を向きながらハートレスに思いを語る。
理解してもらえるわけはないが、どうしても言っておきたかった。
そして確認したかった。
ハートレスにも家族に対する情があるということを。
血の通った人間であるということを。

「何が言いたいの?」
「君ならどうだ?僕は君を詳しく知らない。でも君くらいの年齢なら結婚していても....いや子供がいたっておかしくない。そんな人が...不条理な理由で殺されたら...」
「....」
「激しい怒りで全身の骨が軋む。肺が潰れそうで...意識も狂ってくる。そして全て投げ出してでも、復讐という救いに手を伸ばそうとするんだ....。それが地獄への十三階段だと分かってても...」
「....そうね。きっと私はあなたと同じようなことをするかもしれない。だから何?それで殺人が正当化出来るとでも?もういいわ」

ハートレスは一瞬考えるような素振りを見せるが、すぐにため息をついて彩斗の部屋と飛び出そうとする。
何か彩斗に迫られ、心の内側を見透かされているような感覚に嫌気が差した。
しかし彩斗に止められる。

「待って」
「何よ?」
「時間があったらでいい。ミヤの見舞いに行ってくれ。どうせ僕はこのまま外出禁止なんだろ?『沢城アキ』っていう人間もいなかったことになって...」

彩斗には分かっていた。
殺された不良の学校関係を当たれば、間違いなく『沢城アキ』=彩斗に辿り着く。
そんな疑いを持たれてはディーラーとしても迷惑な話だ。
だとすれば、ディーラーはその存在そのものを消そうとするだろう。
ハートレスも正直なところ可愛そうだと思っていた。
自分の年齢の約3分の1程度しか生きていないような少年が声は小さくとも切実に頼んでいる。
言い返す言葉を必死に探すが、返せる言葉は話題を変えたことだった。

「メリーに感謝するのね。昨日の夜からずっとついていてくれたんだから」

ハートレスはそう告げて再び足を動かした。






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