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渦巻く滄海 紅き空 【上】
五十九 仲介
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もない焦燥に駆られる。

「イタチぃ…ッ」
頭に血が上る。視界が真っ赤に燃え、目の車輪が激しく渦を巻く。
今のサスケには何も見えてなかった。アスマや紅の声さえも耳に入らない。
当初の目的だった白の存在すら彼の頭からはすっぽり抜けていた。

視線の先には生きる目的であり、標的である男ただ一人。


「あんたの言った通り、あんたを恨み、憎み、そして……」
手を垂直に下ろす。左手からバチバチと火花が散った。青白き雷が迸る。
「あんたを殺す為だけに、俺は…――」
首元の襟をぐっと開ける。輝く左手を眼前に掲げ、サスケは咆哮した。

「―――生きてきた……ッッ!!」


【千鳥】を手に、突っ込むサスケ。その攻撃を難なく避け、逆にそのまま手を伸ばすイタチ。
サスケの手首を掴もうとした、その瞬間――。


「せっかくの再会に水を差して悪いけど……」


イタチの動きが止まる。大きくも小さくもない、ただただ静かな声がその場に響いた。
「やはり君か……」
伸ばした手をイタチはゆっくりと懐に戻した。何の前触れも無い唐突な発言に苦笑する。

橋の欄干。其処に何時の間にか腰掛けていた彼をイタチは眩しげに見遣った。

「ナルト君」


名を呼ばれた彼は穏やかに微笑んだ。
イタチとサスケ――擦れ違う兄弟の仲を取り持つべく。


橋の下。三人の影を映す水面がキラキラと、無数の光芒を放っていた。

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