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ヤベーどうすっか……。
あ、どうもはじめまして、俺は性は李、名は順、字は昂河。 ま、李順とでも呼んでください。 俺は流れで屋台の親父をやっている者なんですが、只今困ったことになっております。 まぁ、なんといいますか、この音声をお聞きください。
「おいてめー、その屋台置いていきな」
「ケケケ、兄貴の言うとおりにしな!!!」
「そ、そうなんだナ」
えーわかっていただけたかと思いますが、盗賊です。 嫌ですねー盗賊。 どうしましょう……。
とまぁ、悩んでるあいだに相手が熱くなってきてしまい、ついには剣を抜きました。 仕方ありません。 これも命を守るためです。 撃退しましょう。
◇◆◇◆◇
私は趙雲というものだ。
現在、使えるべき主を探して国から国を渡り歩いている武芸者である。 しかし、仕えるべき主は未だ見つかっていない。 どこかに私が仕えるべき主はいないものだろうか……。
只今私は、洛陽という街を目指している。 この街は、董卓という人物が収めているそうで、なかなかに賑わっているとのこと。 きっと善政がしかれているに違いない。 最近は賊も増えてきたため、街がしっかりとした行政を行っていないと略奪されたりするのである。 世も末だな。
なんて考えながら歩いていたら、遠くの方に車輪をつけた家のようなもの……、まぁ屋台なんだけど……、が見えてきた。 こんなところで立ち止まって商売しても、儲けなんて出ないだろうに何をやってるんだろう、と思っていたら、どうやら賊に襲われているようである。 頭に黄色の布を巻いた三人組の男達に、屋台の主であろう男が剣を突きつけられている。 どうやら脅されているようだ。
これはいけない。 目の前で賊に襲われている人を見て放っておけるほど、この趙子龍は人間をやめてはいない。
手に持つ槍を一度強く握り締め、賊に向かって駆け出す。 距離があるため、私の脚をもってしても時間がかかる。 どうか店主よ、賊どもの攻撃を躱してくれと期待を込める。
あと数尺という距離で無情にも店主に向かい賊どもが剣を振り下ろす。 店主は避ける素振りすらみせていない。 きっと恐怖で体がすくんでしまっているのだろう。 くっ、この距離で、目の前で、無残に一般人を手にかけられるところを見なければならないなんて……。 私は一体何のために武芸者になったというのだ……。
◇◆◇◆◇
ゆっくりと屋台を引きながら道を歩く。 今は昼時、夕刻には洛陽の街に着けるとのこと。
あ、ども、李順です。 賊は撃退しましたよ? これでも各地を回る流れの屋台をやってるんです。 はっきりと言えば、賊に襲われることなんてざらにあるんです。 あの程度、軽い軽い。 それよりも
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