トワノクウ
第二十三夜 長閑(三)
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?」
髪や目を慮って言ってくれたと察せた。否定するのが惜しい掛け値なしの気遣い。しかし、くうは首を振った。
「くうはつまらない子だなあって」
面食らう平八に、くうは授業であった出来事を話して聞かせた。
「何でだ? 別に和算の一つくらい解けなくたって、くうがつまらん奴だってことにはなんねえじゃねえか」
今度はくうが面食らった。さも不思議とばかりに言われてしまえば、どんな卑屈も裸足で逃げ出すしかない。
「――平八さんて、いい人ですよね。露草さんが平八さん放っとけないの分かります」
すっかりほだされてしまったから、くうは素直に胸の内を語ることにした。
「さすがのくうも算数ひとつで落ち込むほど落ちぶれちゃいませんよ。ただね、さっきみたいに、自分が知ってることが一番だと疑わなかった自分に、ちょっと、空しくなったんです。言い訳ですけど、他人を見下してるんじゃないんです。くうはあまりに世界の広さを知らないんだと思います。あとになって世界にはくうなんかよりずっと優れた人達がいると知って、自分の中身のなさに失望するんです」
今日もまたそれで一人傷つけた。
今度こそできる≠ニ思った。朽葉と関わり、露草と平八を巻き込んだ騒動を知り、たくさんのことを感じたから、今度こそ。
(菖蒲先生に何か言ってあげられると思ったのに――)
Continue…
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