暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
マザーズ・ロザリオ編
終章・全ては大切な者たちのために
大望のために……
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そうすると……」
「……難しいな」

和人の不安も最もだ。知らない国に知らない文化。何より…………明日奈の存在が和人の心を揺るがす原因だろう。
離れ離れになるのか、それとも共に歩むのか。仮に後者だとして言語や費用の問題、向こうでの後ろ楯もあると若い2人にとって何かと便利だろう。

「お前はどうするんだよ?」
「ん?ああ……」

進路。今までそんな事を考えた経験は皆無だ。物心付いた時、既に周りには歴戦の戦士達が闊歩していた。そんな厳つい大人に混じって戦い方を、実家で武術を学び、まだ年端も行かぬ内に戦場へ。

ある時、片腕の8割を失うまで銃声を聞きながら朝食を食べ、昼間はより間近にそれを聞きながら移動し、戦い、目標を撃破する毎日。
『戦力外』として日本に送還された後は本家である山東家に軟禁され、自分の中にあるまだ未完成だった《力》の使い方を教え込まれた。それすらも扱えぬ不良品だとされた後は無気力に毎日を過ごす、つまらない人生だった。

「そうだな……。特には決めてない……が、目標ならある」
「目標……?」

俺には木綿季がいた。だからまだ普通の生活、こうして学校生活を送る事が出来る。だが、

「……大した事じゃないけど……俺みたいな境遇の子供達が出来ないように、救ってやること。そんな世界にしないようにする事、だな」
「いや、それ『大した事』だろ!?」
「そうか?」


『誰もやった事がない、難しいこと』ほど大変だとは思っていない。例えば世界で始めてNPOだのNGOだので活動した人達は何も分からない、手探りの状態で進んで行ったに違いない。それに比べ、俺は『そうゆう子供達が居て、戦うことを強いられている』という事実を知っていて、それを取り除いてやれるだけの力も持っている。

最も明確な方法は紛争の鎮圧。それが国際的に難しいのは国際問題がそれだけでなく、解決できる力を持った団体が下手に動くとかえって状況を引っ掻き回してしまうからだ。
だから、それに縛られない『個人』が活動するのだ。

小さな事でいい。1人ずつでいい。汚い大人の事情のせいで選択を出来なかった無垢な子供達に選択を与える。それが俺の目標だ。


予鈴が鳴る。

「……ともかくだ、相談には乗るぜ。出来る限り」
「ああ……。頼りにしてる」






______________________________________







その日の夕方。学校から真っ直ぐ千代田区の『ホークス』の第三師団が入っているビルに向かう。

今朝の仮想シュミレーションについての協議と最近気を配ってなかった各種情報タスクの処理等々、徹夜必至の事務作業が貯まっている。
面倒事は全て押し付けているとはいえ、十数人しかいない
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