喪失編
五話
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らっ一体何や、な、何だ動かねぇぞっ!何だよこの手っ!?」
「人間、こんな事してただで済むと思ってんのか!」
魚人達は唯一動かせる頭をブンブンと振って、拘束から逃れようとする。
だが、無駄な事だ。
俺は動けない魚人二人を片腕でそれぞれ持ち上げ、指を食い込ませると吸血を始める。
「何だ、コイツ!血を指から吸いとってやがる!?」
「ち、力が抜ける.....」
その間、といっても数秒程だが、血を吸われている魚人達は体から熱と血液が抜ける度に死を強く意識したのか苦悶の声を上げる。
顔が青いのは、血が減っているせいだけではないだろう。
「た、助けて」
「アーロンさんに会わす、会わすから.....」
「安心しろ、殺しはしない」
「えっ?」
俺の言葉に反応したのは、ロビンだった。
不思議そうに俺を見ている。
俺はその理由を黙考し、ロビンの反応の訳に気づいた。
この少女は知らないのだ。
自分が眷属を作る事のできる化け物という事すらも。
悪魔の力すら看過できない力を俺が持っている事などもちろん知る筈もない。
「その代わり俺の眷属にする」
「眷属?DIOそれはどういう」
ロビンの言葉が終わらぬ内に俺は二人の魚人に吸血鬼エキスを流し込む。
一応仲間、とまではいかないが協力者なのだからこの際だ、これくらいは教えておこう。
その方が色々とやり易い。
「簡単に言えば、ゾンビ化させ、俺の意のままに操れる僕にする」
「そ、そんな事ができるの?」
驚きにロビンは目を見開いた。
そして、死んでいるとしか思えない倒れている魚人達をじっと眺める。
よく考えるとこの少女が驚くのを初めて見た。
「そろそろ起き上がる」
その言葉通り、魚人達は起き上がりこっちを見た。
「すごい、本当に......なっ」
ロビンは感銘の声を上げるも魚人の顔を見て、絶句する。
それもその筈だ。
魚人達は牙を生やし、目は焦点が定まっておらず、虚ろのままこっちを見ているのだから。
「DIO、あなたの悪魔の実って何なの?こんなの聞いた事も.....」
ロビンが珍しく困惑して、俺に何か言いたげに視線を送ってくる。
分かってる、何の力か聞きたいのだろう。
当然の反応だ。
だがな、他人に自分の力を話すほど俺はお人好しではない。
それを見返し、俺は冷たく言い放った。
「例え、味方でも俺が手の内を明かすと思うのか?」
「.....確かにそうね。ごめんなさい、迂闊だったわ」
ロビンの表情は晴れなかったが、納得したように頷いた。
寂しそうに見えたのは、俺の罪悪感が見せた妄想だ。
ロビンも、あくまで俺とは一線引いている筈。
だから負い目など感じる必
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