喪失編
五話
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、ロビンは今そのランタンで辺りを照らしている。
俺は吸血鬼の力の恩恵で夜目が効くため、ランタンは持ってきていない。
もしあっても邪魔になるだけだ。
「DIO、あれじゃないかしら?」
ロビンが指差した方向に目を向けると一点月が隠れる場所があり、大きな建物が見えた。
数キロ先に木々よりも高い建物の頭部分が見える。
あれで間違いなさそうだ。
「恐らく、そうだ。付いてこい」
「分かってるわ」
そう言って、俺達は駆けた。
常人なら付いてこられないようなスピードで走る事もできたが、ロビンも居るため2割で走る。
それでも人間の速いくらいの速度になるが。
「はぁ....はぁ.....」
「ロビン、キツいようなら後から来ても構わない」
数キロとはいえランタンを持ったままこの暗闇、俺に合わせるのはロビンには酷だろう。
その証拠に顔が既に青い。
「気遣いは、はぁ無用よ」
そう言っている間にも顔色が悪くなるが、この少女は聞かないだろうと判断し、前を向く。
「そうか、ならいい」
再び森を抜けるとアーロンパークと書かれた門の前に出た。
背後で荒い息を吐くロビンに対し、俺は汗1つかいていない。
吸血鬼の力は身体能力ですら、人間を軽く凌駕する。
それに加え、デメリットの太陽は既に克服し、純粋に戦えば人間には負ける事はない程に。
だが、DIOの記憶では二度負けている......因縁の一族の二人に。
一人は体を破壊するまで成功し、もう一人には完全な敗北を期した。
孤高で純粋に天国を目指し、宿敵により葬られた吸血鬼。
哀れ、だと思った。
なのに、胸がムカムカとしてくる。
覚えのない感覚が身体中に広がり、戸惑う。
恐らくこれは失った記憶のせいだと確定的に思った。
まるで自分もDIOみたいな経験をしたような錯覚に陥るが、それを振り払うように門の前まで歩く。
「ああ?誰だ、おめぇら。こんな夜更けに?」
門の前には、顔が魚の魚人と貝のような顔の魚人が立っていた。
立ち位置からして、門番だろう。
交渉が失敗した時、確実に仕留められるよう距離をとり、魚人達に話しかける。
「アーロンに会いに来た」
「アーロンさんに会いに来ただぁ?てめぇ、今何時だと思ってんだ、明日出直してこい」
「今は駄目か?」
「当たり前だろうが!さっさと消えねぇとぶっ殺すぞっ」
睨みを効かし、ドスを効かせる魚顔の魚人。
やはり、魚と交渉など無駄だったか。
俺は両手を掲げ、ロビンを見た。
「拘束しろ」
「了解、グラップ」
ロビンの言葉と共に二人の魚人の体に八本の手が現れる。
それぞれ四本ずつで、両手と両足を押さえ込み、固定させた。
「てめぇ
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