第22話 「奴が来る(シ○アじゃないよ)」
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ザーン回廊から帝国は攻めてくるだろう。
そしてこちらは帝国辺境を攻めることはできない。いま帝国辺境は改革の真っ只中だ。それを潰されでもしたら、辺境の人間の憎悪は同盟に向かってくるぞ。
占領したとしても、レジスタンスになるのは目に見えている。
「考えてみれば、うまい手を使うな」
「辺境開発と同時に、同盟に対する盾にしようというのだろう」
「例えば、地味だった女性が綺麗になってきても、手は出せないというところか」
「手を出せば、怖い男が出てくるし、女性自身もこちらを嫌うだろう」
いちゃいちゃしているところを見せ付けられるだけだ。
それならいっそ、見ない方がいい。
「ところで話は変わるが、あのヨブ・トリューニヒトが、フェザーンの弁務官として向かうという噂は本当なのか」
「ああ、本人が希望したらしい。主戦派のくせに何を考えているんだか」
「分からないという事は怖いな」
「ああ」
■宰相府 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■
「くそっ、やられた」
思わず頭を抱えちまったぜ。
まさか奴が、フェザーンに来るとは予想もしてなかった。
いや、そうか……国内問題から逃げやがったな。
一年か二年、身を隠すつもりだろう。フェザーンに。
レムシャイドとシルヴァーベルヒのコンビで、あのヨブ・トリューニヒトの相手はちょっときついか? 手玉に取れると思われたのだろうな。しかもある意味、フェザーンは安全だ。捕虜交換もある。手柄も立てやすい。条件が揃ってやがる。
俺もまだまだ、未熟だ。あ〜情けねえ。
くっそぉ〜誰を助っ人に向かわせるか、誰だ。誰がいる。
申し訳ないが、オーベルシュタインぐらいしか、思いつかねえ。あいつもいま、内務省で嬉々として働いてるというのに、陰謀家としての能力が必要になってきた。
ヨブ・トリューニヒトの為に、舞台を整えてやったようなもんだ。
むかつくー。
あの妖怪が……とうとう出てきやがった。
同盟で権力争いしてりゃ〜いいものを。それだったらやり様はいくらでもあるんだ。
「俺がフェザーンに行く訳にはいかんよな」
「皇太子殿下? 何をそんなに心配しておられるのですか?」
アンネローゼが首を傾げる。その隣でアレクシアも同じように首を傾げていた。
「化物級に性質の悪い奴が、同盟側の弁務官になりやがった」
「化物級ですか?」
「本気で対抗しようとしたら、リヒテンラーデのじじいを持っていくしかない。それぐらいの奴だ」
はっきり言って、あれと比べたらラインハルトなんぞ目じゃねえ。
原作でもあいつに勝てた奴はいないんじゃないのか?
ロイエンタールが銃で撃ってお終いにしたが、直接手が出せない以上、厄介すぎる相手だ。選挙妨害して、落
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