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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第22話 「奴が来る(シ○アじゃないよ)」
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させておるらしい」
「その上、こっち側から人を選んで、選挙に立候補させようとまで、仰っておられる」
「本気でやる気なのか」
「やるんじゃないかなぁ〜」

 戦争をやるまでもなく。同盟を滅ぼそうとしておられるのだろうか?
 軍としては出るな。と言われれば、おとなしくしているしかない。

「出征時期はこちらで決める。勝手に動くな、だそうだ」
「ま、動くときは苛烈になられるだろうが」
「イゼルローン周辺での遭遇戦ぐらいらしい」
「小競り合いか……」
「捕虜交換もあるからな」
「あれが終わるまでは、奴らもおとなしくしておるだろう」
「そうか? 私は出てくるような気がしているのだが」
「ミュッケンベルガー元帥はそう考えているのか?」

 ミュッケンベルガー元帥が、深刻そうな表情を浮かべ頷いた。
 どういう事かと問うわたしに向かい、

「宰相閣下は戦争に消極的だと思われているのだ。曰く、臆病だとな」
「馬鹿か、そいつは。本気で臆病ならば、フェザーンにも地球にも手を出そうとはなさらぬ。いや、それ以前に、改革などなさらぬわ」
「下手に改革などすれば、帝国中の貴族を敵に回していたのだぞ。それだけの覚悟がおありになる皇太子殿下が臆病だとっ?」
「見たいものしか、見ておらぬのだ」

 ■自由惑星同盟 統帥作戦本部 ジョアン・レベロ■

 目の前にシトレが苦虫を噛み潰したような、表情を浮かべ腕を組んでいる。

「本気でイゼルローンを攻略するというのか?」

 ぼそりと呟く言葉には嫌悪が滲んでいた。

「なぜ今なのだ?」

 もう一度、囁くように問う。
 士官学校の校長から現場に復帰して初めての作戦行動だ。
 それがイゼルローン攻略。
 苛立つのも分かるというものだ。

「選挙と支持率。こう言えば分かるか?」
「仮初めの休戦状態が終わるな」
「ああ、あの皇太子殿下が作り出した休戦状態だ。一年、いやもうすぐ二年になるというのに、たったそれだけしか持たなかった」
「しかも同盟側からそれを破るのか? 帝国に戦争理由を与えるようなものだ」
「戦争をするより、捕虜交換と和平交渉をした方が支持率も上がるだろうに、な」
「まったく。どうしようもないな」
「あの馬鹿女め」

 今の状況がまったく分かっていない。
 もし仮にあの皇太子殿下が本気になったら、フェザーンからも攻めてくるんだ。
 帝国は着実に改革を進めて、有利な状況を作り出しているというのにっ。
 同盟は何も変わっていない。
 変える事すら決められない。後手後手に回りすぎている。

「軍人である以上、行けと言われればどこへでも行くが」

 諦めが漂うような口調だな。
 イゼルローンを取れたとしても、それでどうするのか?
 フェ
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