暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
魔法先生ネギま!
0399話
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 甲板に倒れこむアクセル。その姿を見た瞬間、あやかはまさに血の気の引く思いというものを実感した。

「アクセル君っ! ええい、邪魔です。退きなさい!」

 飛行魚や己のみならず、自らの愛する人へと群がっていく精霊の群れ。なのにそれを防ぎきれず、あやかの振るう鮮血の鞭から逃れた精霊達が甲板に倒れこんだアクセルへと突き進む。元々は小さな子供という事で好意を持っていた相手である。それは間違い無い。だがそれは最初のうちだけであり、今の自分の心には子供としてのアクセルではなく、1人の人間としてのアクセル・アルマーが住み着いている。アクセルの為なら自分は何でも出来るだろう。だからこそ、本来は雪広財閥の令嬢である自分が血と戦場の匂いのするこんな場所にいるのだ。それは、ただアクセルの側にいたいが為に。

「させないっ! 絶対にさせない! アクセル君は私が、私達が絶対に護る!」

 円もまた、絶叫しながらも周囲一面へと己のアーティファクトである純炎の涙を使い多数の炎を生み出しては精霊達を一瞬にして消し炭へと変えていく。その目に映っているのはあやかと同様に、自分の愛する人が甲板へと力無く倒れている姿。いつでも自分達を護ってくれた、いつでも側にいてくれた。実際に出会ってからはまた数ヶ月。だが、それでも自分が恋に落ちるのには十分な時間だった。そしてその恋は、既に一生を共にしたとしても悔いは無いと言い切れる程に深く入り込み、愛へと変わってしまっている。その、まさに強さという物を体現したかのようなアクセルが、力無く甲板へと倒れ伏しているのだ。
 だがそんな円の想いも、まるで途切れる事のない無尽蔵とでも言うような精霊の数には対抗しきれない。1匹、2匹とその炎の網を潜り抜けるようにして少なくない精霊達がアクセルの方へと向かう。
 そしてその精霊達がアクセルへと触れようとした、その瞬間。

「私を中心に半径1mに領域を指定。赤の石よ、その力を示せ」

 アクセルを半ば抱きしめるようにして、自分の身体を盾にしてでも護るかのようにしていた千鶴が、己のアーティファクトを起動させる。
 同時に現れるのは赤いドーム状の領域である守護領域。
 その領域に阻まれて精霊達はアクセルへと到達は出来ないが、それでも尚諦めずに繰り返し、繰り返し守護領域へと衝突を繰り返す。

「アクセル君は私が必ず守り抜きます。決して貴方達の手には渡しません!」

 普段は穏やかな千鶴の、血を吐くかのような叫び。そしてその意志を受けたかのように守護領域はより強固に、より頑丈に形成されていく。
 自分が抱きしめているこの人を絶対に護りきる。それこそ、己の身を犠牲にしてもこの人が助かるのなら決して後悔はしない。その意志を込めて思い切りアクセルを抱きしめながら、その頭をそっと撫でる。何故ならこの
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ