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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第21話 「二十四時間、戦えますか?」
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 好きな者はいないが……。
 だからこそ、無駄な戦闘はしたくない。そう思っておられる。

「やらずに済めば、それに越した事はないんだが、そうも言ってられん」

 そう仰る。
 私は、私が宰相府に呼ばれた事に驚いている。
 私はヨハン・フォン・クロプシュトック。クロプシュトック侯爵家の男子だ。
 父はフリードリヒ四世陛下を、公然と侮辱していたそうだ。
 その息子を宰相府に呼ぶ。
 皇太子殿下は豪胆なお方だ。

「使えるものは何でも、誰でも使う。一々気にしてられるかっ」

 明るく、大胆で、そして強い。
 まこと、次期皇帝にふさわしい。父ですら、ルードヴィヒ皇太子殿下には眼を見張っていた。

「あのお方が、オトフリート五世陛下の皇太子であったなら、誰もが認め。帝位争いそのものが起きなかっただろう」

 父、ウィルヘルム・フォン・クロプシュトックの言葉だ。
 そう父にすら、言われる皇太子に興味が湧いた。もっともそうであったなら、フリードリヒ如きが至尊の地位につく事など無かった。と吐き出したが。
 そして来てみて、さらに驚いた。
 なんだ。この仕事の量は……?
 この量をこなせというのか?
 私を殺す気かと、言いたくなったが、ここでは誰もが平然とこなしている。
 もう、すっかり慣れきっているのだな。
 まだ幼いラインハルトでさえ、平然としている。
 最初は侍女だと思ったものだ。
 皇太子殿下の命令だそうだ。
 いささか不満げに言うラインハルトに、思わず笑いそうになってしまった。
 怒ってはいても、女装に嫌悪感が無い。
 染まっているなぁ〜。
 本人は気づいていないようだが……。

「卿の領地、クロプシュトック領では領地経営がうまくいっているようだ。その辺りを領地経営の見本としたい。ブラウンシュヴァイク公爵やリッテンハイム候爵のところは大きすぎて、見本になりにくいのだ」
「それは宜しいのですが、なにも自分のところでなくても?」
「辺境は人口が少ない。他の貴族のところでうまく行っている所は、そもそも惑星の環境が良い。悪いところは、経営もうまく行っていない。後は分かるな」

 なるほど、父は社交界を追われてからというもの、領地経営ぐらいしかやるべき事が無かった。
 苛烈な圧政を行わず、経営はうまく行っている。
 皮肉な事に領地に引っ込んでいた時間が、今の帝国に必要とされているのか。

 使えるものは何でも、誰でも使う。一々気にしてられるかっ。

 確かに皇太子殿下の仰るとおりだ。
 社交界を追われていた貴族であろうと、必要ならば呼び寄せる。
 一々気にしてなど、いられない。
 好き嫌い言っていられる余裕は、今の帝国にはない。

「皇太子殿下の特権よな。全ての貴族に命を下
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