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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第21話 「二十四時間、戦えますか?」
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が」

 俺と大貴族たちの言葉に、誰もが口を閉ざす。

「そこで、帝国に貴族院を作ろうと思う。議会ってやつだな。貴族達は各星系の領主でもある。そいつらに自分たちのところだけでなく。帝国全体を有機的に結びつけて、儲ける事を考えさせる」
「どうせ、宮廷で似たようなことをしているのだ。場所が変わるだけよ」
「公になれば、領民の目もあろう。誰も恥は掻きたくない。領民にうちの領主は馬鹿だと思われたくは無かろう」

 まずは貴族院を作る。今まで無かったのが不思議なぐらいだ。
 内閣はあるくせに。ところで内閣はなにしてんだ?
 働けよ。おいっ。
 しかしよほど議会に嫌悪感を持っていたのだろう。
 とはいえ、五〇〇年も経てばそうも言っていられない。

「平民にも政治参加の機会を持たせるべきだ」

 ブラッケがそう喚く。
 まったく。

「卿はすぐそれだ。貴族ですら今から議会を作ろうというのだ。はい、そうですかと平民達が政治に参加できるのか? どうしていいのか、分からなくなるだけではないのか?」
「卿が平民達の権利拡大を願っているのは、理解しよう。だがまだ時期尚早だ」

 ブラウンシュヴァイク公がブラッケを諭すように言う。
 そしてその後を、引継ぎリッテンハイム候もまた、口を開いた。

「言いたい事は解るが、何事にも原因があり、過程が存在し、結果を生み出す。まずは一歩だ。いきなり結果のみを求めるな」

 俺が纏める。でないと話が終わらない。
 お前、それをゴールにしてるみたいだが、そこはスタートラインだぞ。
 分かってんのかね、それが。
 舞台の幕を開けるための、準備期間みたいなもんだろう。
 舞台よりも準備の方が手間がかかるもんだ。
 ただ、こいつらの誰も平民の権利を踏み躙る気はないようだ。
 それに気づいていない、カール・ブラッケは地に足がついていないと、思われても仕方ないのではないか? メックリンガーたちは、そう思っているように見えるがな。

 ■宰相府 ヨハン・フォン・クロプシュトック■

 宰相閣下が帝国に貴族院を作ると言い出した。
 このお方のことだ。
 きっとなさるのだろう。
 本当に帝国は変わる。雰囲気だけでなく、制度として変わる。今でさえ、帝国の変化を実感しているのだ。それはさらに加速するだろう。
 軍人としては不本意ではあるが、ここ一年ばかり戦争が無い。
 第四次イゼルローン攻防戦ぐらいか。大規模な戦闘は。
 オーディンにも人が溢れている。
 戦争が無いために、戦死者が出ていない。
 その為にどことなく雰囲気が明るい。人の顔にも笑顔がある。

「とはいえ、この先戦争も起こさねばならん。同盟も放って置くわけにもいかんからな」

 このお方は戦争がお嫌いなのだろう
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