第百一話
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「お前らは今、身体が大事な時なんだから堪えてくれ」
三人のお腹は今のところはまだ膨らんではいないが、俺としてはこんな戦いで命を落としてほしくないんだよな。
「……長門がそう言うならしゃあないな」
「分かった。従おう」
二人は渋々とだが納得してくれた。そして十万の軍勢(大砲三十門)は江夏の国境付近に向かうのであった。
――洛陽――
「そんな……向こうから仕掛けてきたのに知らないだなんて……」
使者からの報告を聞いた劉備は唖然としていた。それは玉座にいた者達もだ。
「桃香様ッ!! 仲に使者を送っても奴等は無視を……いや、使者の首を切り落とすかもしれませんッ!! 最早……最早戦をするしか……」
五虎大将軍の一人である張任はそう劉備に具申した。
「真李ちゃん……御主人様……」
劉備は北郷に視線を向けた。
「判断するのは桃香だ。俺達は決定に従うよ」
「……分かった。仲と戦をします。皆さん、戦の準備を願います」
『オオォォォッ!!』
劉備の言葉に皆は雄叫びをあげた。
「上手く行きましたね御主人様」
「あぁ。桃香には悪いが仲は是が飛とも潰さなければならない存在だ」
とある部屋で北郷達三人が話をしていた。
「軍勢はどれくらいになる?」
「凡そ二十万でしゅ。桃香様も出るとすれば後陣で四十万でしゅ」
「荊州は陽動として動きますので然程多くありません。江夏から侵攻するのが無難です」
「良し。その方向で行こう」
斯くして、蜀と仲の戦は始まったのであった。
「ほほぅ。蜀もかなりの軍勢を揃えたな」
俺は長江の対岸を見ていた。対岸には多数の蜀の軍勢が陣を敷いていた。
「それで作戦はどうするのかしら?」
曹操が俺に聞いてきた。
「ここ一週間は夜襲にも備える。昼夜交代でやるしかないだろ」
それと四斤山砲は高台と砂浜の陣地に構築しておかないとな。
そして長江を挟んで両岸に両軍が対峙した。
「……攻めてこないな」
「攻めてこないわね……」
俺は高台の四斤山砲隊から曹操と一緒に対岸を偵察していた。二日が経っていたが蜀軍が攻めて来る気配はない。
「……思春」
「何だ?」
思春が直ぐに来てくれた。
「済まないが皆を呼んでくれ。呼び終わったら思春は偵察に行ってほしい」
「承知した」
「何か不安でもあるのかしら?」
「奴等が此処に上陸せずに違うところで上陸していたらどうする?」
「……有り得ない話ではないわね」
「だから皆で軍儀して決めるんだよ。誰を一時的に後方偵察に下がらせるかをな」
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