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『曹徳の奮闘記』改訂版
第百一話
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「ふざけるんじゃないわよッ!! 何で今、蜀を攻撃しなければならないのよッ!!」

 夜半、部下から起こされた詠は使者からの言葉に憤怒した。

「ですが我々が発見した死体には仲の鎧や仲の旗があったのですぞ? それをどう説明するのですかな?」

「だから知らないわよ。蜀を攻撃理由は此方に無いわ。魏の残存兵力じゃないのかしら?」

「……成る程、魏に罪を着せるおつもりですな?」

「ふざけるんじゃないわよッ!! 推測で物を言うんじゃないわよ」

「……宜しい。今回は帰りましょう。ですが、仲の兵士の死体だと此方は確信していますよ」

 使者はそう言って江夏に帰るのであった。

「……恋、攻撃した?」

「……してない」

 詠の言葉に恋は首を横に振った。

「そうよね……今の蜀に攻撃出来るわけがないのよ……」

 詠はそう呟き、急ぎ健業に使者を送って念のために戦闘準備を下命した。




――健業――

「何ッ!? 我々が攻撃したとッ!?」

 詠からの使者に美羽は驚いていたが、それは俺達もだ。

「……天の御遣いと軍師二人の仕業じゃな」

「美羽もそう思ったか?」

「うむ、あの三人は我等が持つ大砲と……そして長門、御主を恐れておるのじゃ」

「……俺が未来人だと気付いていると?」

「そう思わんとこの行動は一致しないのじゃ。兎も角、奴等が戦を仕掛けてくるのは間違いないのじゃ」

「軍を派遣しますか?」

「派遣はするが、それを先にしたら向こうは戦を始めるじゃろう」

「なら偽装しましょう」

「うむ、それでいくのじゃ」

 七乃の具申に美羽は採用した。

「軍は江夏との国境に七万を派遣するのじゃ」

「荊州方面は?」

「荊州方面には荊州の地形に詳しい劉ソウ殿を向かわせるのじゃ」

「分かりました。一兵たりとも仲には入れさせません」

 劉ソウはニヤリと笑った。

「十万の大将は長門。御主に任せるのじゃ」

「分かった。人選は?」

「長門に任せるのじゃ」

 美羽の言葉に俺は頷き、そこで解散となった。俺は玉座にいる美羽に近づいた。

「長門、アレはどうなっているのじゃ?」

「真桜達工作隊を総動員している。完成まで暫く掛かる」

「分かったのじゃ。出来るだけ時間稼ぎを頼むのじゃ」

「あぁ」

 俺は美羽にそう言って人選に取り掛かった。派遣する武将は孫呉から雪蓮、蓮華、冥琳、思春、穏。魏からは曹操、春蘭、秋蘭。他は焔耶、クロエ、ロッタ、星、司馬懿だ。他は健業で軍勢を整えて待機の予定だ。

「えぇ〜うちらは?」

「そうだそうだ」

 霞と桜花が不満な表情をしているけどな……
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